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糖尿病の原因を歴史から紐解いてみた! そうだ!石器時代に行ってみよう!

(この記事は3分で読めます)

石器時代に行ってみよう!

あなたの目の前にタイムマシンがあります。

行き先は2万年前の石器時代!
(話をわかりやすくするために石器時代を選びました)

では行ってみましょう!

デロリアン バック・トゥ・ザ・フューチャーより


眩い光と共に石器時代にやってきました。

目を開けるとそこには建物や電線、電柱が一切なく、木々や草、土や石などであふれた世界です。

あなたは石器時代の大地を歩き出します。
しばらくすると全速力でぐるぐると走り回っているオオツノジカを見つけました。何かから逃げ回っているようです。
視線を少しずらすとオオツノジカ追いかけている細マッチョの複数人の男たちがオオツノジカを囲おうとしていました。

苦労の末彼らはオオツノジカ仕留め、食糧として集落に持ち帰ります。


「ひろしまWEB博物館 旧石器時代の狩り」 より

あなたは彼らに歩み寄ります。
最初は訝しげな表情であった彼らもあなたを敵ではないと認識し、集落へ案内されます。

集落では木の実や果物を集めていた女性や子供たちが、狩りをしていた男たちを待っていました。
彼らは仕留めたオオツノジカを見てみんな大喜びです。

石器時代の食生活

あなたは彼らと一緒に食事をします。

食事中、隣にいた男性はこう言います。

「狩りは失敗に終わることも多い。食料が不足して空腹で辛い思いをすることもある。でも生きていくには狩を続けていくしかないんです。今日は本当にめでたい!」

そう、彼らは飢餓状態を何度も何度も経験しています。

それでも彼らは生きている。

動物を狩るためには筋肉を動かし、そして持久力が必要です。
そして現代では考えられないような彼らの脆弱な住まいは自然災害に弱く動物たちにとって格好の標的です。
身を守るためには常に血糖値を維持し、必要時に爆発的な力を出すために血糖値を上昇させる必要があります。


あなたは心の中で呟きます。
「あれ?そうか!米やパンはこの時代にはないんだ!」



石器時代の血糖維持の方法は?

そんな彼らは狩りをするためにどうやって血糖値を維持していたのか?米もパンもない時代に・・・。

もちろん女性や子供がとってきた果実に糖質は多く含まれているかもしれません。

しかしそれだけでは不十分でした。

彼らは血糖値を上げるための武器を体の中に備わるように進化していました。

その武器とは血糖上昇ホルモンです。

すなわちグルカゴン、成長ホルモン、アドレナリン、甲状腺ホルモン、糖質コルチコイド、ソマトスタチンなど、複数のホルモン分泌能力(武器)を備えており、あの手この手で肝臓に蓄えられたグルコースを血中に放出し身体活動を促進します。グルコースはよくガソリンに例えられますね!

彼らにとっては血糖値を上げる必要はあるけども、下げる必要など全くないのです。

じゃあ血糖値を下げるインスリンって何のためにあるの?

インスリンの本来の意義

みなさんご存知、インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。。。と多くの人は言うでしょう。医者もそう説明する人は多いと思います。

しかし本質は違います。

インスリンは元々は血糖値を下げるために存在するものではありません。
血液中に入った糖分の中で使わなかったものをグリコーゲンに合成して肝臓に貯蓄しておくホルモンなのです。結果として手元のグルコースが適正値になっているだけです。

インスリンが血糖値を下げるのは"目的"ではなく、あくまで"結果"である

現代人の食生活

あなたは石器時代の人々に別れを告げ、タイムマシンで現代に戻ります。

食べ物の溢れた世界です。

オフィス街や飲食街を歩く人々は電車やタクシー、バスを利用して移動し、お腹が空いたら狩りをすることなく食事をします。

そうです。彼らはわざわざ血糖上昇ホルモンを駆使するまでもなく口から糖質を摂りそしてインスリンを膵臓から搾り出します。

絞り出されたインスリンは血中のグルコースを肝臓に貯蓄します。

一時的に血糖値は下げられても、過食や間食などで糖質を過剰摂取すれば血液中には常にグルコースが流れてきます。

やがて肝臓ではグルコースの処理が追いつかず、血糖は高くなり、一部のグルコースは内臓脂肪や皮下脂肪となります。

”肥満一丁あがり”です

内蔵脂肪はインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性を引き起こし、血糖上昇に拍車をかけます。

これが(2型)糖尿病のメカニズムです(本当はもっと複雑ですが)。


<石器時代のインスリン>
 空腹が当たり前
 インスリンの目的は肝臓でグルコースの貯蓄
 とにかく血糖値を維持するか上げなければならない

<現代のインスリン>
 満腹が当たり前
 インスリンの目的は血糖を下げる
 血糖値を下げないと心筋梗塞、脳梗塞、失明といった合併症のリスクが上がる

現代人の血糖調節メカニズムは石器時代から全く進化していないということです。
そこに産業革命等々で食事が溢れ、現代人の体が劇的な環境の変化に適応できなかった、そしてインスリンの主要な目的が旧石器時代と現代では大きく変わってしまった。ただそれだけのことです。

インスリンの体への作用は全く同じなのに、時代によってこうも目的が変わってくるのは興味深い事実です。


本日は歴史から紐解く糖尿病豆知識でした!


糖尿病に関しては非専門医ながら、これからも勉強して情報発信に励みたいと思います!

引き続き本編記事もよろしくお願いします!

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