Enter the blue spring(小説)#3

未来世界 教室
未来「それでいきなり告られちゃってさー、本当恋愛意味分からねえよ。」
零斗「まあ良かったじゃないか。これで青春スコアが跳ねあがり、好き放題できるぞ。」
未来「そういうお前は成功したのかよ?」
零斗「当然だ。全てに単元において最低限成績を確保しないと、部活ができなくなってしまうからな。あ、ちなみに邪魔になるからするだけして時間巻き戻した。」
未来「ええ…勿体ねえ、ストイックすぎるだろお前。」
零斗「いいか未来。俺たちはログインした時に肉体がアバター(分身)と化すが、ゲームで高めた技能や運動神経はそのまま俺たちの元の肉体に引き継がれる。つまりどういうことか、授業中に野球の練習を堂々と行えるというわけだ。つまりこんなチャンスをみすみす取り逃がすことこそが野球部において死活問題」
未来「分かった分かったもういいから!まあ確かに、青春の形って色々あるからな。ワンチャン『これは青春です!!』って言っとけば青春になっちゃいそうだよな。」
零斗「そうだなところで野球は?」
未来「もう何回目だよその質問!もうすぐだから待てよ!」
零斗「未来人は食べたモンスターによって個性が強くなるが、どうやらそういうことらしい。それじゃ」
未来「おいそれ皆同じ条件だろ!待てー零斗!」
ガラガラガラ
(ドアが開く音)
先生「零斗ー出席しないと単位取れないぞー。さて、今日も今日とて青春しに行きます。それではログインレッツラゴー(棒読み)」
未来「何か先生適当になってきてない?」
零斗「知るか、野球がしたい。」
ログイン!

2019年 二次元世界
学校の校庭
零斗「さて、こっちでの部活をやるか。」
NPC A「あ、部長おはよう~。」(イジイジ)
零斗「おーうめっちゃスマホいじってんなあ。」
NPC A「知ってますか部長、下手に野球するよりもスマホゲームする方が楽しいんですよ。」
零斗「目と声がマジなんだよ。」
部長か……たまに呼ばれるけど違和感あるんだよなー。まあ元はと言えばあいつのせいなんだが……

回想
音邪「一年生でも部長とか良い役職つけるように、この学校は実力主義にしよう!」
玲奈「何のためにそんなことするのよ。」
音邪「だって、肩書き持ってた方がかっこいいじゃん(笑)」
快人「はあ…そんなことだろうと思ったよ。」

零斗「あいつかっこつけること以外、脳内に何もないのか?」
NPC A「くっへへへ…スマホにしか脳がないなんて言わないでくれよ…そんな、そんなことないから…グフフ…」
零斗「お前に関してはもはや疑わしいが…まあいい、練習はちゃんとやれよ。」
NPC A「ああ、ちゃんとやっとく。」
顧問「おーい零斗、ちょっとこっち来てー。」
零斗「あ、はい、分かりました。」
顧問「今日は君の観察眼を貸して欲しい。」
零斗「はあ…」
顧問「というわけで、ちょっとこれから通すんだけど見てもらえるかい?」
零斗「あ、はい…はい?俺の通しの練習は…」
顧問「ああ、はっきり言って君強すぎるからさ、ぶっちゃけ他の部員鍛えたいんだよネ」
零斗「お疲れ様でしたさようなら」
顧問「いや速いよ!?待ってー!」
零斗「何ですか?俺は練習しにきたのであって見学しにきた訳じゃないんですよ。」
顧問「俺の観察眼より君のの方が正確だからぶっちゃけそっちを参考にしたい(良いか零斗、人間というのは他人を見て初めて成長できるんだぞ!)」
零斗「本音と建前が逆になってますよ。」
顧問「まあまあ、一旦ここ座ろ?面白いもの見せてあげるから。」
零斗「はあ……」
零斗は渋々ベンチに座った。
顧問「最近新しい戦法を生み出したんだ。優秀な3人の選手のおかげでね。」
零斗「ほう。」
顧問「まずは背番号二番!剛が投げる!」
ピッチャーの剛が速い球を投げる。
顧問「そして背番号七番!正士が捉えてあわよくばホームラン!」
カキン!
零斗「おう。」
正士が打った球が大きくとんで行く。
顧問「そしてディフェンスに三番、龍我を配置する。二番×七番×三番で273!これぞ絶対零度戦法!」
零斗「いや2×7×3だと42になると思いますけど?」
顧問「まあ強くなれば何でも良いよ~。さあ、正士の打球を龍我は止められるのか!?」
確かにこの作戦は強い。ピンチの時にこの布陣が敷ければ、チームの戦績は安定するだろう。特に龍我の守備はかなり期待でき
NPC A「ふへへ…SSR出た。」
零斗・顧問「秒で作戦崩壊してるー!?」
顧問「いやなんで!?なんであいつグローブスワイプしたり、タップしたりしてんの?頭おかしいの!?」
零斗「恐らくスマホがなくてもゲームを幻視するようになってしまったんだと思います。これが発症した人間の脳を変質させてしまうと言われている」
零斗・顧問「スマホ依存……!」
顧問「まずいぞお!2×7×-3で真の絶対零度になっちまう!」
零斗「いやだから2×7×-3は-42だと思いますけど。」
顧問「うるせえ!ーはーだろうが!」
零斗(この人ホントに数学の教師か…?)
顧問「頼む!現実に戻ってきてくれー!」
NPC A「ん?」
龍我の頭上をボールがかすめていく。
NPC A「スマホ……スマホーーー!」
龍我は絶叫するとボールに向かって一目散に走り出した。
顧問「おお!すごい!龍我の奴、今までにないくらい速いぞ!」
零斗「とうとうスマホ中毒で幻覚が激しくなってきたみたいだ。」
NPC A「スマホーーー!」
龍我はボールに追いついたかと思うと、グローブでしっかりとキャッチした。
零斗「あれが強い執着の力、恐ろしいですね。」
顧問「そことスマホ、依存決定で。」
零斗「先生!?」
???「ルールー…」
顧問「ん?零斗、何か言った?」
零斗「いえ、何も言ってませんが?」
???「ルールールールールー!」
部員「ん?何だ?誰か歌ってるのか?」
???「ルールルー!」
零斗「はっ!先生後ろ!」
顧問「へ?」
モンスター「ゴーー」
顧問「アチャチャチャチャ!な、何だこいつ!?」
モンスターはメンバーに向けて波動を吐いて攻撃し始めた。
生徒「うわーー!な、生首!?どひゃーー!」
剛「うわわわ、早く逃げないと!」
顧問「そうだ!皆、速く逃げろ!」
生徒たちが逃げていく中、零斗は冷静にその場にとどまる。
零斗「あいつ、この間逃がした奴か。」
顧問「お、おい!どうした零斗!逃げないとお前も危ないぞ!」
零斗「安心しろ。あいつごときにやられる俺ではない。」
ラビットザウルスレイダー、ログイン!
零斗「今度こそ片付ける。インストール!」
ローディングレイドシステム…
レイダー!
顧問「な、何だ?どうなってんだ?」
状況が飲み込めない顧問は目を丸くして、変身した零斗を見つめる。
零斗「下がっていろ。」
モンスター「ルールー!」
モンスターは髪の毛を振り回して攻撃するが、零斗に躱される。
モンスター「ゴーーーー」
零斗「ラビットヘッダー。」
カキーーン!
モンスターは負けじと波動を放ったが、零斗の拡張武器ラビットヘッダーがシールドを貼ったことであっさり無効化された。
モンスター「ギーー!」
それでも体(巨大な生首)で押し潰そうとするが、
零斗「フン!」
モンスター「グア!」
アッパーで逆に大ダメージを受けた。
モンスター「ブギーーーー!」
秘技 巻き舌叩き!
零斗「無駄だ。」
零斗は相手が舌を叩きつけるタイミングで、自身の拡張武器ラビットヘッダーから大量の針を飛ばす。

ズバババババババババ!

モンスターの舌に大量の針が突き刺さった。
モンスター「ヒーーーーン!」
モンスターが痛みのあまり地に落ちる。
零斗「からの地震。」
零斗はこの機を逃さず足で地面を踏みつけ地震を起こす。
モンスター「グギャアアア!」
零斗「からの突撃。」
零斗は背中のとさかをいからせ突進した。
モンスター「グボオ!?」
零斗「召喚。確保しろ、ラビットザウルス。」
ラビットザウルス「アーゲゲヨン!」
独特な鳴き声と共にラビットザウルスが姿を現し、とんできた生首を確保する。
零斗「終わりだ。」
必殺技!絶対零度パンチングフィニッシュ!
零斗「撃て。」
ラビットザウルス「グアーン!」
ラビットザウルスは死にかけの生首に容赦なく針を飛ばす。
そしてモンスターが動けなくなったところをとさかで攻撃した。
零斗「死ね。」
零斗はフルボッコにされた肉塊を凍らせ、パンチを打ち込んで止めを刺した。

モンスターは跡形もなく消え去った。
零斗「ふう………あ。」
零斗が全てを終えたところに顧問はやってきた。
零斗「先生…。」
顧問「零斗……かっこよかったぞ。でも、いくら自分が強いからって、体を張りすぎないように。お前は俺の、大事な部員なんだからな。」
零斗「先生……」
顧問「んじゃ、俺はあいつらに今日は帰って良いって行ってくる。お前も帰って良いぞ。それじゃ、よき青春を。」
顧問がその場を立ち去ろうとすると、零斗の様子がおかしくなった。
零斗「青春…セイ、シュン?セイシュン…セイシュンって何?美味しいの?WA?」
零斗は突然気持ちの悪い、絵に描いたような雑な線と点のみの体になった。
顧問「お、おい!どうしたんだ零斗!?何か耳と首と色がなくなったし、全体的に何かすごい雑になったぞ!何か口もパッ○マンみたいになってるし!おい!しっかりしろ!あ、てかお前!自分だけじゃなくて周りの色までなくなってきてんじゃねえか!おい!しっかりしろ!零斗ーーー!」

青春と聞くと謎の発作が起きてしまう、零斗なのであった。

ゲームルール
学校の創造は、未来人によって行われる。つまり、この世界に本来存在しないはずの学校が、新たに創られることになる。

次回予告
未来「はあ、弱ったなあ。」
零斗「どうした?」
未来「あかりちゃんと付き合い始めてさー、デートとか行こうって話になったんだけど、絶対おめかしして良いお洋服着てくると思うんだよねー。何か本に『良い男は相手の変化にすぐ気づいてくれる』って書いてあったからさー、何か言ってあげた方が良いのかなって。」
零斗「ふむ。」
未来「ほら、俺ってもしあかりちゃんがどんな服着ても、同じような感想言うくらいには感性ゴミなんだよね。何か良い案ないかなーと思って。」
零斗「何だ、惚気か何かか?」
未来「んだよ。人が真剣に悩んでるのに。」
零斗「何て言うか、お前は気楽で良いな。でも、もしそうなら『ショッピングしてる最中に服屋によって彼女が服を試着する』なんてシチュエーションがあったら詰むだろうな。」
未来「いやいやwそんなことあるわけ」
零斗「あるぞ。このゲームの運要素はシビアだからな。」
未来「ンナーーーーー!」(発狂)
次回 enter the blue spring 第4話 soul break!
零斗「次回もフォローといいねとコメントはしてくれよ。」
未来「欲張りすぎだろお前…」






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