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友達に誘われて深センの日本人クラブ(カラオケ)デビュー・・・

中国美人「王紅華」の波乱の半生(その2)

中国美人「王紅華」の波乱の半生では、したたかとも思える「王紅華」という女性の波乱に満ちた生き方にスポットを当てています。この記事は中国人少女が内陸部の村から都会に移り住み、家族を想いながら必死に生きる姿を描いた、リアリティーに富んだ内容のフィクションです。

王は、美人の地として知られる四川省の女性としてはあまり容姿に自信がある方ではなかったが、小柄の体型ながら色白でプロポーションは抜群だった。彼女には姉と2人の兄の4人兄弟の末っ子だった。

姉と上の兄は結婚し両親の家の近くに住んでいた。もう一人の兄は広東省内にいるが定職につかずぶらぶらしていた。中国の農村部では、未だに男尊女卑の風習が根強く残り、男の子はどの家庭でも大事に育てられていた。王は4人目の女の子だということで両親からは生まれたときにあまり喜ばれず生活苦が増すだけだと思われていた。

王の両親も例外ではなく、二人の兄を甘やかして育てた。結婚し独立した2人の兄弟と定職に就かない兄は両親の生活苦には関心が無く、自分の生活の事だけで精一杯だった。皮肉な結果ではあるが年老いた両親の生活を援助するのはいやが上でも疎まれながら育った末っ子の王の背に重くのしかかっていた。

王は小さいときから両親とともに農業の重労働に耐え、ひもじい貧乏生活を強いられてきたので、お金が幸福の原点だと思っていた。お金さえあれば美味しいものも食べられ、病気の時も見殺しにされず病院で治療を受けられる。

王は都会で働くことによって、少しでも多くの現金を得たかった。両親に現金を送って楽な生活をさせたかった。疎まれながら育っても、兄弟の中で王は一番両親の幸せを願っていた。

王が働き始めた深センの日本人クラブの近くには、中国人を相手にするにぎやかな中国人向けクラブがあった。そこには毎夜、成金風のかっこいい香港人、中国人が高級外車で乗り付けては酒を夜中まで飲んだ後、彼女らを車に乗せて消えていった。

王の店の日本人クラブの回りはひっそりとして、仕事帰りのサラリーマン風の初老の男が通い、なけなしの出張費や赴任手当の中で慎ましく飲んでいた。

王は中国人クラブのほうがチップも多く数倍現金も多く得られることをすぐに知った。だが彼女にはプライドがあった。女として身を売ってまでもお金を得たくない、両親もそんな事を知ったら悲しむに違いないと考えた。

日本人クラブには5~60歳代の品の良くないおじさんが通ってきては、昔の演歌をがなっていた。概して性格はおとなしいが、時にはスケベなじじいもいた。酔った勢いで日本ならセクハラで訴えられる様な言動や行動を取るものもいて、王は最初は困惑した。

王は頭がよく2~3ヶ月後には、日本風のビールの注ぎ方、水割りの作り方からスケベじじいの相手をしてカラオケを歌うまでに水商売の心得をしっかりと身につけた。

片言の日本語も話したり、聞いたりできるようになった。持ち前の明るさと我慢強さもあって半年後には一人前のクラブの女として5,6人のなじみの固定客もでき、給料も2000元を越えるまで稼げるように成長していた。

第1章その3へ続く >>>

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田舎から都会に出稼ぎに出てきた中国人女性の生き方や、改革開放当時の企業や、中国社会の様子をリアリティーあふれる描写で書き綴った短編小説です。

中国美人「王紅華」の波乱の半生は、したたかとも思える王紅華の波乱に満ちた生き方にスポットを当てています。この短編小説は2004年、中国人少…

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