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日本人男性との出会いで王は初めてベッドを共に・・・

中国美人「王紅華」の波乱の半生(4)

中国美人「王紅華」の波乱の半生では、したたかとも思える「王紅華」という女性の波乱に満ちた生き方にスポットを当てています。この記事は中国人少女が内陸部の村から都会に移り住み、家族を想いながら必死に生きる姿を描いた、リアリティーに富んだ内容のフィクションです。

いつしか25歳を迎えていた王は、最近の日本人は財布の紐が堅くなったと感じていた。景気後退のあおりで、数人の客との着かず離れずの付き合いだけでは、チップも増えず、化粧品などの高級品も手に入りづらくなってきた。

そして最近は何よりも増して、日本人との食事や、休日のデートもわずらわしくなってきた。もっと現金を得たい、ふるさとの両親にもっと楽をさせたいという想いと、気がつくと自分でも贅沢したい誘惑に駆られるようになっていた。

都会で夜の仕事を重ねているうちに、洋服やバッグ、靴、化粧品など高級品を身につけたい欲求に駆られていた。彼女の仕事仲間同士の会話は、何かというと彼氏のこと、そして高級ブランド品を買ったり、プレゼントされた話題ばかりだった。

最近は深セン市内には高級ブランド品を売るショッピングセンターが次々とオープンし、どこから集まってくるのか着飾った裕福そうな女性が大勢買い物を楽しむようになっていた。

王はいつかは金持ちで、自分を大事にしてくれる優しい日本人を恋人にしたいと思っていたが、若くて美人ならともかく、25を過ぎた彼女に寄ってくる都合のいい日本人は現われるはずが無かった。

王の現金収入は多い月でで3000元(5万円程度)であるから、質素な食事(一日50元ほど)と共同アパート代(300元)を払って、両親へ送金するために1200元程度貯金出来る月もあった。
ただ、口紅や香水はブランド品で数100元~1000元、衣服はやはりブランド品は1000元以上するため、仕事仲間の女たちの会話に加わるためにはどうしても現金が不足していた。

そんな中、クリスマスも間近なある底冷えのする夜、ある客が現れ、彼女の生活が一変することになった。
その客はもう40歳を過ぎた男だが、小さいながら香港で会社を経営しており、外見は小奇麗にしているが実際の年齢よりかなり年上に見えた。この男は日本から香港に赴任し、香港を拠点に時々中国の広州や東ガンへ渡って仕事をしていた。

週末の出張では大陸で仕事を終えた後、客や仕事仲間と一緒に食事したり飲んだりしてよく遅くなるので香港に戻らずに深センのホテルに宿泊するようになっていた。

この男は、何度か王の店に現れるようになっていた。そして来ると必ず王を指名した。機転の利いた王のテンポのいい会話述は、比較的無口なこの男を退屈にさせないため、仕事のあとのくつろぎの場となっていった。

男は王に対して好意は抱いていたが、特別な気持ちは無く、ただのクラブの女として見ていた。王も理想とあまりにも違う40過ぎの男に対して、ただの客としてしか見ていなかった。

年も明けたある日、王は店を一人で訪れていたその男と四川省の両親の話をしていた。そして春節(2月初めの旧正月)には四川省に2年ぶりに帰省するが2週間は仕事を休まなければならず、また以前深センに出てきたときに4日間、長時間のバスの中で酔ってほとんど食事もせずに大変な辛い思いをしたことも男は聞かされた。そして今回は3000元かかっても飛行機で帰りたいと冗談交じりで雑談していた。

だいぶアルコールも入り、もうそろそろマイタン(お勘定)して帰る間近となり、そわそわし始めたとき、突然男は「四川省へ帰るお金出してあげるよ」と真面目な顔で王に告げた。これが王が始めてその男から得た、まとまった現金となった。

後日彼女に手渡された現金は、飛行機代とおみやげ購入代、甥や姪にあげる紅包(お年玉)代あわせて一万五千元ほどになった。そしてこの夜、二人は初めて深センのホテルで一夜を共にした。王は日本人の男とベットを共にするのは生まれて初めての経験だった。

第1章その5へ続く >>>

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田舎から都会に出稼ぎに出てきた中国人女性の生き方や、改革開放当時の企業や、中国社会の様子をリアリティーあふれる描写で書き綴った短編小説です。

中国美人「王紅華」の波乱の半生は、したたかとも思える王紅華の波乱に満ちた生き方にスポットを当てています。この短編小説は2004年、中国人少…

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