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「せんさーい」なお話

WHO(世界保健機関)によると2015年、認知症有病者数は5,000万人になるとか…。そして毎年1,000万人近くが新たに認知症になるという発表がありました。

日本にも沢山の認知症をお持ちの方がいらっしゃいます。

今回の記事ではこの「認知症」の症状で、一人で外に出る婆様についてのお話です。家族の困ったが安心につながったケースについて書いていきます。

娘さんの悩み

娘家族と一緒に過ごしていた70代の花子さんは、アルツハイマー型の認知症と診断されていました。
花子さんは、認知症と診断されていましたが、身体はとっても元気です。シャンシャンと歩けるので、娘が気づかない間に、外に出ていくことがよくありました。

娘さんとしては
「自宅に帰ってこれなかったらどうしよう」
「車や電車にでもひかれたら大変!」
「24時間、一緒にはいてあげらない…」
と悩んでいました。

三日三振

娘さんは花子さんの件を担当のケアマネジャーに相談しました。

結果…
玄関に人がふむと音が出て知らせてくれる「マット式センサー」を手配しました。

ところが、花子さんは、マット式センサーに気づいて「なんだろう?ふんじゃまずいかな」と思われたのか、それを跨いで外に出ていっちゃいます。

3日間様子を見ましたが、1回も踏まれることがなく、とうとう1度も鳴ることがなく三球三振!
役目を終え撤退を余儀なくされた「マット式センサー」なのでした。

次なる秘密兵器

ケアマネジャーとしては、このままでは終われないので、次の兵器「赤外線型のセンサー」を設置しました。

娘さんもこれにはとても期待しました。

ところが、花子さんはこの「赤外線型のセンサー」にすぐに気づいてしまいました。

「コレなんなの!」と娘さんに怒ってしまいました。

認知症だからって、何にもわからない・気づかないという訳ではないんですよね。

両者の言い分

娘さんとしては
「やっぱりママが外に出ていくのは心配なんです。
 できれば一人で外に出てほしくないんです。」
という正直な気持ちがあります。

花子さんとしては、赤外線型のセンサーにより
「私の行動を監視してるんじゃない!」
というしばられているのでは?という気分の悪さがあります。

花子さんが不快にならない方法を何とか考えたいところ。
そこでケアマネジャーは、自宅訪問の時にある聞き取りを花子さんに行ったのでした。

ケアマネジャーがセンサーに

ケアマネジャーが花子さんとしたのは、何げない会話です。
そこで、特に尋常高等小学校時代の話をしました。花子さんの若い時代に何かヒントになるものがないかを再度お話で確認してみたんですね。

花子さんは、普段から何かと忙しい娘さんとなかなか話ができなかったようで、ケアマネジャーに色々と1時間ほど話してくれました。
そこでわかったことがいくつかあったんですが、ケアマネジャーが注目したのは「昔に犬を飼っていてとても可愛がっていた」ということです。

これでケアマネジャーのセンサーが鳴り響きました。

同じ赤外線のセンサーでも、犬の置物タイプのものがある!ってことです。

早速、福祉用具の担当の人に相談して、犬の置物タイプのセンサーを手に入れました。

これは同じセンサーでも、可愛らしい犬の置物が
「わんわん!」と鳴いてくれるんです。

花子さんも、これには不快感をだされず
「おーおー、今日も元気ねぇ」と笑顔で頭をなでるのでした。

繊細なお話


花子さんが玄関で靴を履いている時に犬の置物が鳴いてくれます。

これによって娘さんや他の家族がすぐに気づくことができます。
娘さんの心配も減って、安心して過ごせる時間が多くなったのでした。

今回のケースは、自宅で生活されている爺様婆様だけでなく、事業所として営業している施設などでも応用できるお話だと思います。

介護用のセンサーだってしっかり仕事をしてくれることが多いです。でも、花子さんのようにセンサーだと気がついて「私の行動を監視している」という不快感に直結することだってあるんですね。

更には、家や施設に訪問する人がセンサーに気がついて「これは何だろう」と不快に思われる可能性だってありますから。

可愛い犬の置物なら、そういった不快をカモフラージュできたってことですね。

センサーいいな! なお話でした。

おしまい。

今日も最後まで読んでくれてどうもありがとうございます。
あるとデザインでは「あるとイイな!」をデザインしてます。

追伸
個人情報の保護のために、エピソードには若干…の脚色がついていることをお許しください。固有名詞も仮称です。








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