【時短系料理人18】

『ママ。パパが“寒い”って言ってる』
 僕は言った。
 スープにされた僕は、後部座席のママと、僕らを殺した復讐をするために、チャンスを狙っているんだ。
 容器の中から、虎視眈々とパパの様子を伺っている。
 
『そうね。ざまみろって感じね。私たちの怨念が車内の温度を下げているのよ』
 ママが、笑っている。 
 ママは、本当に怖い。
 まるで“雪女”みたいだ。
 フーって、後ろから冷たい息をかけて、運転席のパパをハンドルを握ったままフリーズさせてしまうつもりかもしれない。
 
 そんなことできるか、わからないけど。 

「本当に、寒いな」
 パパの唇は青くなっている。
 まるで、死人みたいだ。

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