【小説】#痴漢⇔エロい満員電車⇔完璧な罠(ショートショート)
「ようやく、思いを遂げられそうだ」
ムトウは、鼻息を荒げた。
ムトウの股間が、徐々に堅くなっていく。
アダルトビデオなどで、有名な【電車痴漢プレイ】の夢がようやく叶いそうだった。
【17××0・1-1】これが、合言葉だ。
【17××0・1-1】は、浅●線の車両を意味する隠語。
帰宅時間帯、混み合う都営浅●線の下りホーム。
車両が、プラットフォームに入ってくるのが、待ち遠しかった。
スマホを取り出す。
《痴漢情報サイト》
ムトウの前に2名、後ろに2名。
左右隣の列に、同じような配置で、7名。
集まったのは、ムトウを含めて計12名。
人数を多く集めたのは、失敗例が少なくないから。
去年。
インターネットで、痴漢情報の掲示板を見て集まった男たちは失敗した。
彼らは、無謀にも5人きりで犯行に及んだ。
そして、電車内で、女性を囲んで痴漢したことで警視庁に逮捕された。
このニュースは、その筋の連中には有名だ。
5人きりで【囲み】するなんて無謀過ぎる。
【掲示板】には、隠語などを使って、痴漢情報を交換していたらしい。
だが、ムトウらは、さらに念には念を入れる。
捕まるリスクの高い【囲み】なんてしない。
彼らが逮捕された動画を見た。
若い女性を取り囲み、不審な動きをする男たち。
防犯カメラには5人が女性の下着に、代わる代わる手を入れているのが映っている。
非常ボタンが押され、電車が停止。駅員らに通報されてしまった。
駆けつけた警察官に、署に連行されたという。
人生崩壊である。
(俺たちは、12名もいる)
ムトウは意気揚々と、電車に乗り込んだ。
女子高生を取り囲む。
12人なら、触られている女子の姿が見えない。
誰にもバレない。
捕まることもない。
目の前に、女子高生が立っている。
シャンプーの匂い。
女子高生のうなじが白くて、透き通るようだ。
(ぐがぁあ)
ムトウは、たまらず女子高生のスカートの中に手を差し入れた。
「きゃ」
女子高生が声を上げる。
「黙れ」
耳元で脅す。
「この車両には、12人も仲間が乗っている。声を上げたってムダだ」
次の瞬間、
「おい! 今、痴漢したろ」
12人の外側に、立っていた屈強そうな男に、腕を掴まれている。
「警視庁●●署の者だ」
警察手帳。
「合言葉は【17××0・1-1】。バカめ。この車両、他にも50人の警察官が乗っているんだ。罠にはめられたのは、キサマらだ」
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