シン【ソウサクの中毒⇔中毒のソウサク①】

 ソウサク(俺)は数時間前まで、シロヌリしたドクターに襲われていた。
ドクターは、ソウサクが殺した。
 勢い余って、殺してしまった。

 ドクターは、ソウサクの掛かり付け医だった。ソウサクはメンタル疾患を抱えていて、青山の心療内科に通っていた。

 ソウサクは、そこで奇怪な経験をした。ある日、いつものようにドクターの診察を受けていると、白塗りしたゾンビたちがウロウロしている。

(幻覚だろうか)
 ソウサクは目を擦った。
 ついに、自分のメンタルも行くところまで行ってしまったかと思った。

 そして、事態は加速していく。
 青山霊園の墓地の地下で、白塗りしたゾンビたちとバーベキューをするという幻覚を見たのだ。
 気がついてみると、ソウサクは病院の入ったビルの前に倒れていた。

「気がついたか」 
 ドクターはニヤニヤしている。
 ソウサクは、このドクターが変なクスリを投与していたことを知る。

 そして、ドクターとの揉みあいの結果、ドクターを殺すことになった。さらに殺したはずのドクターは、白塗りしたゾンビとなってソウサクに襲い掛かってきた。

 それから数時間後――
 目を覚ますと、ソウサクは自室のベッドにいる。未だにアレが、投与されたクスリによる「幻覚」だったのか。はたまた、「リアル」な出来事だったのかわからずにいるんだ。
 (②へ続く)
 

 


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