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癒しの森を歩く ~北八ヶ岳・天狗岳~

 標高1860メートルにある「唐沢鉱泉」の西尾根登山口から北八ヶ岳の最高峰となる天狗岳へ向かう。

 北八ヶ岳一帯はシラビソ、コメツガなどの針葉樹と苔に覆われた原生林が特徴である。

 下界では連日猛暑日が続き、熱中症への警戒が呼びかけられているが、標高2,000メートルを超える山域の体感気温は20度前後だろうか。

 急登を登っていくとさすがに汗が噴き出してくるが、樹林帯の日陰で一休みすれば、噴き出した汗は嘘のように引いていく。

 登山道周辺は、様々な苔に覆われた大岩と針葉樹の森で、神秘的な雰囲気を醸し出している。

 木々の根元には大小様々な「洞」(うろ)が形成され、今にも「もののけ姫」に登場する「こだま」がカラカラと音を立てて湧き出してきそうである。

こだま (スタジオジブリ作品静止画から)

 西尾根登山口から標高差約600メートルの急登を登ると、標高約2400メートルの第一展望台に辿り着き、一気に視界が開ける。

 天気が良ければ、南八ヶ岳の山々や麓の諏訪盆地が一望できるはずだが、見えたのは、これから目指す西天狗岳と隣の根石岳などで、遠望は叶わなかった。

 しかし、上空を見上げると、雲間から鮮やかな青空が顔を出し、風が爽やかに吹き抜けて行き、汗がいっぺんに乾く。

 更に進んだ第二展望台では西天狗岳が眼前に迫り、大岩の急登に取り付いている先行者の様子が望める。

西天狗岳

 いよいよ最後の大岩の急登に差し掛かると、山頂はガスで見え隠れしているが、ここを登り切れば西天狗岳の山頂だ。

 岩にしるされた○印、×印、⇔の矢印を頼りに大岩を乗り越えて山頂に辿り着くと、隣に聳える東天狗岳の雄姿が飛び込んできた。

東天狗岳

 天狗岳は、西天狗岳と東天狗岳から成る双耳峰で、標高は、西天狗岳が2,646メートル、東天狗岳が2,640メートルと、その差は約6メートル。
 ほとんど同じ高さで並んでいる。

 東天狗岳は切り立った岩稜の上にその頂があり、西天狗岳からは、鞍部まで50メートル程下ってから比較的なだらかな登り返しとなる。

 東天狗岳に登頂し、たった今超えてきた西天狗岳を振り返りながら、山頂付近で休憩する。

西天狗岳を振り返る

 日差しが強く、風もあまり吹いていない絶好の登山日和にかかわらず、次から次へとガスが流れ込んできて視界を遮るため、360度のパノラマを楽しむには少々残念な天気だったが、「また来よう」と、楽しみを次に残しておくことも山登りの楽しみである。

 ひとしきり休んだ後は、岩の稜線を下って黒百合平を目指す。

稜線ルートへ

 東天狗岳から中山峠を経て黒百合平へ至るルートは、天気が良ければ大パノラマが広がる稜線である。 

 が、こちらも、次の楽しみにしまっておこう。

 黒百合平からは、大岩の沢沿いを下る。

 湿って滑りやすい大岩のルートは、一歩一歩が腰や膝に大きな負荷がかかる上、足の置き場を選びながら歩く必要があるため、ことのほか体力を消耗する。

岩を渡って下る

 唐沢鉱泉方面と渋の湯方面の分岐から、北寄りの渋の湯方面ルートへ進み、尾根ルートの「パノラマコース」を歩くことにした。

パノラマコースへ

 こちらは、大岩も少なく、辺り一面は苔に覆われたシラビソの森で、足下は地面に変わり、随分歩きやすくなった。

苔に覆われた森は奥深く、幻想的な雰囲気を醸し出す

 マイナーなルートなのか、足跡も少なく、すれ違う人もない幻想的な森を歩き、唐沢鉱泉への分岐にたどり着くと、あとは「現世」に戻る(下る)のみである。

唐沢鉱泉へ

 一気に唐沢鉱泉の駐車場まで下った。

 心癒される山行であった。

 ありがとう。また来ます。

唐沢鉱泉駐車場


ナナカマド
この日のルート (YAMAPから)

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