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#2 人種差別

わかってはいたもののあるんだなと改めて実感した。

先日、急にモロッコ人のクラスメートと連絡がつかなくなり、彼の友人がいろいろなところで彼の所在を聞きまわっていた。前投稿のとおり、私はその時はちょうど山行の最中で、下山したら大量の関連するメッセージがSNSのあちこちで飛び交っていた。

その翌日、彼が何事もなかったかのように、「I'm fine.」と連絡してきた。何もなかったはずがない。約48時間だれも連絡がつかなかったのだから。その上、彼はもともと別の都市にいる友人を訪ねる予定だったのに、そこへも行けていなかったのだから。

休暇が終わった翌週の月曜、クラスメートたちが彼のところへ、「何があったんだ?」と心配半分、興味半分で群がっていた。彼はげっそりしたような表情の中に、少しの安堵を見せていた。当初、何も話すつもりはなさそうだったが、別のモロッコ人が理由を見事に推察したため、彼は観念して話し始めた。

彼は留置所にいたのだ。ただメトロに乗っていただけなのに。

彼によれば、その日は市内でイベントがあり、警察が抜き打ちでメトロ内の乗客の身体検査をしていたらしい。彼はその時身分を証明できるものを持っておらず、警察も話を聞くつもりもはなからなかったらしいので、わけもわからず留置所へ送られてしまったらしい、同じ言語を話せるにもかかわらず。その折に携帯も盗まれ、留置所に放り込まれた結果、約2日間誰とも話さず過ごしたそうだ。

さらに悲しいことが2つあったそうだ。この時に一緒に留置所へ送り込まれた人たちは留置所にいた人々が有色人種ばかりだったこと。また、そこで警官でもないアフリカ系黒人に「ク〇アラブ人め」と罵られたこと。

結局彼はこの件を学校へ報告しなかったそうだ。訴えたところで、目に見えない力が働いて状況の改善には至らないことを理解しているからと。代わりにこの経験からの教訓として、外出するときは常に身分証明書を持ち歩くことを薦めてくれた。

なんとなくわかっていたことだけれども、この国では目に見えない人種の上下関係は依然として残っている。「白人 >> 黒人」。良くも悪くもアジア人はこの構図の外のような気がする。この構図から抜け出すために、黒人がアジア人やその他の人種を貶めたり、辛く当たったりすることもあるのかなと。

私は幸いこれといった人種差別を感じていないが(ただ鈍感なだけかもしれないけれど)、小さいことでいえば、学食で学割を受けるために学生証を見せるときに、明らかに白人の学生のときより私のものには時間をかけて入念に確認していると感じることはある。

一方で、私自身差別しているつもりはなくても、大柄な黒人が電車やエレベーターで近くにいると身構えてしまうことがある。人のことはあまり言えたものではないが、やはり見慣れないものには抵抗があるのは事実だと思う。できるだけ多種多様な人とコミュニケーションをとって、自分自身のCalture Mapを創っていきたい。

最後に全く関係ないが、トップ画は見てのとおり果物の柿なのだが、この国でも「Kaki」というらしく、スーパーで買った時に面を食らってしまったので、備忘録まで。

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