不動産売買仲介に係る責任とは?

【仲介業務とは?】
1.契約当事者の探索
2.取引物件にかかる資料収集
3.物件調査
4.価格査定
5.取引条件の交渉、調整
6.重要事項説明書の交付、説明
7.契約履行手続きへの関与  ...etc

仲介業者は上記業務において「善良なる管理者としての注意義務、専門家としての注意義務」を負います。

〈誰に対して?〉
・委任契約(仲介契約、媒介契約)を締結した相手
・委任契約を締結していない一般の第三者の取引に介入する場合
「業者の介入を信頼して取引をなすに至った一般の第三者に対して、信義誠実を旨とし、
業務上の一般的な注意義務を負う(最高裁・昭和36年5月26日判決)」
→媒介契約の有無にかかわらず仲介責任を負う場合もあります。

【仲介業者が責任を負う場合(善管注意義務違反)】
1 調査義務違反
・不動産の購入目的が達成されなかった場合
(店舗利用目的でマンションの一室を購入したところ、マンションの管理規約や使用細則により店舗利用が認められなかった)
(飲食店経営のため賃貸借契約を締結したが、市の条例により対象物件での飲食店の開業が認められなかった)

2 説明義務違反
・費用面の説明義務
(設備メンテナンス費用、マンションの修繕積立金の滞納状況の説明がされず、引き渡し後に思わぬ出費がかさんだ)
・周辺環境の説明義務
(3階建て建物の建築のため土地を購入したが、近隣住民の反対によって2階建ての建物に変更せざるを得なかった(仲介業者は近隣住民の反対運動を知っていた))
・心理的瑕疵の説明義務
(売買対象物件内での事件死亡事故が報告されずに売買契約を締結してしまった)
・契約内容の説明義務
上記は仲介業者の責任に関する事例となりますが、いずれも仲介業者の善管注意義務違反として判決が下っております。(仲介手数料の減額、契約の白紙解除、損害賠償)

仲介責任のポイントとなるのは、仲介業者が果たすべき業務上の調査・説明義務で知り得た情報か否かというところです。
例えば(購入後の土地から地中障害物が発見され、撤去費用がかかったが、その事実を仲介業者は知らず、容易に知り得るべき重要な事実ではなかった)ことから仲介責任が問われなかった事例もございます。

「調査をした、していない。事実を知っていた、知らなかった。説明した、していない」
仲介責任の判断基準はかなり曖昧です。
不動産取引においては、第一に信頼できる人と取引をしましょう。

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