マツミナ

マツミナ

マガジン

最近の記事

しばらくブログを休みます

読者の皆さま  私たちのイデマツブログにいつもお付き合いくださってありがとうございます。本日は、しばし休載のお知らせです。  私たちはこのブログで何を伝え、どうしたいのか、もう一度原点に戻って考えます。以下に、私たちのやりとりの一部分をご紹介します。 マツミナからイデちゃんへ  このブログのサブタイトルは「屋根のない学校をつくろう」でした。屋根のない学校とはどういうものなのか、今の学校ではどうしていけないのか。そうしたことを書いていく必要があると思っています。  身辺雑記

    • 批判的思考力が芽を出す

       「先日の社説に疑問があります」   質問力を磨く(Class Q)の授業中、学生からこんな発言が上がりました。その日のキーワードは脱炭素、持続可能な社会。それに触発されたようです。  問題視された社説は、「仏の原発回帰 脱炭素が後押しした政策転換」(2021年11月22日付読売新聞)。フランスは発電量の7割を原発に頼っていますが、2007年以降新設されていません。それが温暖化による異常気象への不安や、ガス・電気料金の上昇への不満もあって、「国民の間で原発を肯定的にとらえる

      • 主語のない日本語

         イデちゃんがゴミと戦っていた間、こちらは学生の「日本語」と格闘していました。上智と帝京大学で開講する「質問力を磨く(Class Q)」で、留学生と帰国女子の日本語に驚かされました。  Class Qでは、自分以外の誰かになりきって新聞を読み、そこで抱いた疑問を質問として言語化します。先日は「日本の火力発電所で働く20代の日本人」になりきって、COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)関連の記事を読み、そこで浮かび上がった質問を発表してもらいました。難しい課題です。留

        • ゴミを捨てるのは楽じゃない

           先週から田舎の家の片付けを続けています。今朝は不燃物を入れた大きな袋12個を近くの集積所まで運びました。先日物置で見つけた台車を使おうと思いつき、軒下に立て掛けて置いたのを持ってきました。ずっしりと重い袋を2個積み上げて「これは楽チン」と数メートル進んだところで「ガタン」と前輪がはずれました。  その拍子に不燃物袋が転がり落ちて破れてしまい、中身が道路に散乱しました。楽ができると思ったのも束の間、新しい袋をとりに戻って詰め替える羽目になる始末。物置に放置されていた理由がわか

        しばらくブログを休みます

        マガジン

        • 質問力を磨く
          1本

        記事

          バラバラ大学

           先日、ある地方国立大学の教職員や学生と話をする機会がありました。結論から言うと、上層部と教職員、学生の話がそれぞれ乖離していました。大学という一つの組織のメンバーである、とは名ばかりで、みんなバラバラのように見えます。  上層部は、たくさんのシステムを動かし、改革をしている、順調である、と言います。これまでに文部科学省が打ち出してきた教員が教育と研究に取り組みやすい環境づくり、人事評価システム、学生が学びやすい学習環境などを整えているそうです。  ところが、教員たちは違う

          バラバラ大学

          ゴミ屋敷にしないために

          雪の季節が来る前に家の外回りを片付けようと先週から田舎に帰っています。夏には庭の雑草を相手に苦戦しましたが、今回は物置や庭の隅に集積されている不用品が相手です。  まずは庭に放置されている植木鉢やプランターです。素焼きの植木鉢の中に残っている土を捨てると、中から大きななめくじが出てきたり、蜂の巣が作られていたりしてギョッとすることも度々です。ヒビが入っているものや汚れがひどいものは割って雨樋の下に敷いたり、不燃物用の袋に詰めたりして、まだ使えるものは10個ずつ重ねて紐で縛

          ゴミ屋敷にしないために

          竜王・MVP・首相

           意外な素顔を見せてもらった1週間でした。  まずは、竜王戦を4連勝で制して最高位を奪取し、史上最年少4冠に輝いた藤井聡太さん。小学生の頃から「全集中」で、難解な詰将棋の問題を考えながら歩いていたため、何度もドブに落ちていたそうです。対局中、相手の表情やしぐさを見たりすることなく、ひたすら盤をにらんでいる竜王らしいエピソードです。  ストイックな全集中の一方で、こんな一面も。運動不足を解消するため、藤井さんは今年春に散歩を始めたました。ところが「行った先から帰るのが面倒なの

          竜王・MVP・首相

          二人は、なかよし

           「考える先生」を目指す学生がお世話になっている小学校の学習発表会を見せてもらいました。コロナ禍にあって学校の教育活動は様々な制約を受けています。保護者に配布された「ご案内」に書かれた「国語や音楽の発展的学習や日頃から取り組んでいる音読を生かしたもの、五感を働かせた子供たちの取組、子供たちが話し合い創り上げたものの発表など様々です。一部、地域行事とも連携し行います。保護者・地域・学校が一体となり、コロナウィルス感染症への感染防止を図り開催いたします。子供たちの頑張りや成長した

          二人は、なかよし

          ツルツルじゃない面接

           「先生、内定出ました!」  ゼミ生からの一言に、やったやった、と手を取り合って喜びました。長く苦しい日々でした。  ゼミ生は春先には就職活動を始めていました。受けても受けても、結果に結びつかない日が続くうち、どんどん俯きがちになり、「どうせダメだし」と就職活動をやめてしまいました。  もう誰も自分を必要としない。自分の存在を全否定されたような気持ちになっていました。どこがダメなのか、わからないだけに辛い。自分の学生時代を重ね合わせ、慰める言葉にも詰まっていました。  転

          ツルツルじゃない面接

          ツルツル面接

           「ちょっといい話」になるのは、イデちゃんと市役所職員がお互いの出会いを大切にしようという思いがあるからかな、と昨日のブログを読みながら考えていました。相手が誰でも一期一会、出会いを大切にしたいと思えば、丁寧に対応するのかもしれません。となると、何も引っかからないのは――。    「今年は異常です。こんなに引っかからない学生ばかりとは」と残念そうに話すのは、IT関係の中小企業経営者。採用面接を重ねる中で、異変が起きていると感じているのです。何も引っかからない「ツルツル面接」が

          ツルツル面接

          ちょっといい話

           「渡る世間に鬼ばかり」なんてドラマが流行ったことがありますが、世の中まんざら捨てたものではありませんね。「(新入社員に)何が一番向いているのかつかもう」と辛抱強く待っていてくれる社長だっているんだから。そういう出会いを大切にする社会にしたいなあと思いました。今日はちょっといい気分になった話をします。  印鑑登録証明書が必要な用事ができたので市役所に行きました。1階ロビーに各種証明書の自動交付機があったはずだと探したのですが見当たりません。以前設置されていた場所には証明写真

          ちょっといい話

          人生をやり直した社長

           人生はやり直しができます。いつからでも。イデちゃんに「神対応」と絶賛された社長も「やり直し」をした人です。  社長は起業して10数年間、「神」どころか「人でなし」だったそうです。仕事が終わるまで社員を帰さなかったため、毎月の平均残業時間は、なんと200時間超! 残業代を払っていたことだけが唯一の救い、という過酷な会社でした。本人曰く「仕事できないやつはゴミ」って言い放っていたとか。もちろん社長本人も、自宅に帰るのは月1回でした。  大きな転機が訪れたのは、10年ほど前。

          人生をやり直した社長

          人生はやり直せる

           「引きこもりからの就職」(2021年11月14日、マツミナ)にうれしくなりました。    「真新しいスーツを着ていたんだよね。きっとこの日のために親御さんが買ったんだろうなって思ったらさ、そのまま帰せないじゃないの」  なんと粋なはからいでしょう。新調したスーツを着て面接に臨んだ本人ではなく、息子の採用試験のために新しいスーツを着せて送り出した親心を受け止め、「腹を決めた」社長の「神対応」に感動しました。    想像するに、面接でのやり取りはパッとしないものだったのかもしれ

          人生はやり直せる

          引きこもりからの就職

           帝京と上智の両大学で展開している授業「質問力を磨く(ClassQ)」は、中小企業家同友会に加盟している企業の協力をいただいています。授業に参加するだけでなく、学生のインターンシップやインタビューも引き受けてくれます。数日前も、8社の経営者や人事責任者らが学生との懇談会に参加しました。やりとりの中で、設計会社の経営者がこんな話をしてくれました。    「今年7月、採用面接に来た人の履歴書を見たら、大学を中退して2年間のブランクがあったんですよ。何してたの?と尋ねたら、家に引き

          引きこもりからの就職

          もう一つの「一生もの」

           瀬戸内寂聴さんが亡くなりました。99歳でした。新聞は「恋に生き、女性の生き方に向き合い、慈愛を説いた九十九年だった」(2021年11月12日付東京新聞)と報じていました。作品やお話などから知る以上に、波瀾万丈の人生だったことでしょう。天寿を全うし、本物の仏様になられた寂聴さんに合掌。  11月も半ばになり、今年も残り少なくなりました。この時期になるとポツポツと届く葉書があります。「喪中につき新年のご挨拶を失礼させていただきます」というお知らせです。  父が亡くなりました、

          もう一つの「一生もの」

          一生もの

           母の形見の足踏みミシンの調子が悪くなりました。ガタガタと異音がします。そこで、自宅から2駅向こうで開業しているミシン屋さんに修理をお願いしました。あちこちにガタが来ているから、修理費用がかさんでも、すべて直してもらおうと覚悟していました。ミシン屋さんは某ミシンメーカーを定年まで勤めた専門家という触れ込みだったので、楽しみにしていました。  ところがミシン屋さんは一目見るなり、「これは修理ができません」とキッパリ。「この部品は、もうメーカーでも置いていないです」と言うのです。