GOOGLEアナリティクス 分析・改善 9
入り口と出口を分析する
WEBサイトを訪れる人は、必ずどこかのページから入り、どこかのページから出ていきます。コンビニエンスストアとは違い、必ずしも同じところから入って出るわけではありません。どのページも入り口と出口の対象になります。特に入り口ページとその「直帰率」を知ることはWEBサイト改善の第一歩です。
4-1 流入が多いランディングページと課題となるページを発見する
まずはサイトにきてくれた人が一番はじめにどのページを見たのか?
そのようなページを「ランディングページ」と言いますが、それを確認してみましょう。ランディングページごとの直帰率を見ることで、改善すべきページを洗い出してみましょう。
ランディングページの重要性
ランディングページ(入口ページ)はWEbサイトの第一印象を決定づける重要なページです。第一印象が悪いと、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。その先に良いコンテンツや情報があってもそこにたどり着かなければ価値はありませんし、サイトのゴールはランディングページだけで達成できることはまずありません。
「直帰率」を確認する
ランディングページがユーザーにどのように評価されているのかを知るための指標で、最も大切なのは「直帰率」です。ブログの記事や用語の説明など1ページで完結していて、流入してきたユーザーが内容に満足して直帰することもあるので一概には断定できないのですが、基本的に「直帰率」が高いページは、「ユーザー評価が低い」と考えましょう。直帰率が高くてよいことは一部の例外を除いて基本的にはありません。
・直帰率が高い理由
1求めている情報がなかった(あるいは、少なかった)
2次のページへの導線がなかった(あるいは、わかりにくい)
3用意されている導線に興味がなかった
4ページの表示速度が遅い、見づらいなどの不満があり離脱した
5該当ページだけでニーズを満たせた(=ユーザーにとっては満足した状態)
直帰率はGoogleアナリティクスのレポートで確認することができます。
左メニューから「行動→サイトコンテンツ→ランディングページ」をクリックし、レポートを見てみましょう。
課題となるページを発見するために、直帰率を高い順にならべてみましょう。表の「直帰率」の文字列をクリックすると、直帰率の降順で並べることができます。効率的に改善するためには「流入数があり、直帰率が高いページを優先的に改善していく」という考え方を採用しましょう。
「加重」並び替えを行うメリット
「加重」並び替え機能を活用するメリットは、「流入数」を考慮して改善するべきページを自動的に並び替えてくれる点にあります。つまり、ランディングページを「改善効果が高い順」に抽出してくるということです。
操作方法は、「直帰率」の降順をソートした状態から
「並び替えの種類」のプルダウンを押し、「加重」を選択します。
4-2 課題となるページを改善するための方針を決める
・直帰率が高い原因を探るには?
改善が必要なランディングページを発見することができました。しかし、なぜそのページは直帰率が高いのでしょうか?まず原因の分析が必要です。
Googleアナリティクスのセカンダリディメンションを活用して「ページ×参照元」や「ページ×ユーザーの行動区分(新規・リピート)」を掛け合わせ、問題の原因を特定していきます。
原因を探る方法1:流入元ごとにランディングページの直帰率を調べる
左のメニューから「行動→サイトコンテンツ→ランディングページ」をクリックし、レポートを開きます。
セカンダリディメンションに「集客→参照元/メディア」を設定します。
表の上の「アドバンス」リンクをクリックし、該当ページのURLの一部などをテキストボックスに入力し、ページを絞り込みます。入力したら「適用」ボタンをクリックします。
パータン1
どこから流入しても直帰率が高い
ページそのものに根本的な問題があります。
対策・直帰率が低いランディングページなどほかの似たページと比較して違いを発見して改善ポイントがないかを探りましょう。特に次に進んでほしいページへの誘導ができているかを確認しましょう。
・似たページがない場合は、ページの内容やレイアウトを大きく変えてみる必要があります。
パターン2
流入元の誘導文とランディングページがマッチしていない
対策・広告等を出稿している場合は、掲載先の情報とランディングページの内容がマッチしているかを確認しましょう。デザイン・文章・ランディングページ先の変更が必要かもしれません。
・広告出稿を取りやめる、または直帰率が低い出向先に変更するなど検討しましょう。
・自分で出稿していない場合は修正をお願いするなどの対応も必要です
原因を探る方法2:
新規とリピーターごとにランディングページの直帰率を調べる
続いて「新規・リピート」と掛け合わせてみましょう。「原因を探る方法」と同様、まずは「行動→サイトコンテンツ→ランディングページ」をクリックし、レポートを開きます。
続いて、セカンダリディメンションで「ユーザー→ユーザータイプ」を設定します。さらに、表の上の「アドバンス」リンクをクリックし、該当のページのURLの一部などをテキストボックスに入力したら、ページを絞りこみます。入力したら「適用」ボタンをクリックします。
4-3 ランディングページからの遷移先とコンバージョン貢献を知る
「直帰率が高くてもサイトに貢献しているページ」や「直帰率が低くてもゴールに貢献していないページ」も存在します。
優秀なランディングページとはどのようなものか?
・良いランディングページのポイント
1 直帰せずに遷移している流入はどのページに遷移しているか?
2 コンバージョンや収益に貢献しているか?
・遷移先のぺーじの確認方法:「入口からの遷移」レポート
左のメニューより「行動→サイトコンテンツ→ランディングページ」をクリックします。ランディングページ「entry/2017/01/04153955」からどのページに遷移したのか、遷移先の情報が上位10位まで確認できます。
・コンバージョンや収益に貢献しているか?
「ユーザーはどこに向かっているのか?」「より重要なページにユーザーを送っているのか?」という観点で確認したり、サイトの収益を生み出しているページを確認したりすることで、サイトの収益に貢献しているランディングページを発見できます。収益が発生しないサイトでは、表の見出しにある「コンバージョン「Eコマース」のプルダウンから、確認したい目標を選んで比較を行いましょう。
さらに、2つのポイントを組み合わせたレポートを作成することも可能です。
4-4 離脱が多いページを発見し改善するための方針を決める
前ユーザーがあなたのサイトを離れるときに最後に閲覧したページを「離脱ページ」といいます。つまり、ユーザーがそれ以上あなたのサイトを読むのを止めてしまったぺーじです。サイトの中で離脱率が高いページを確認していく必要がありますが、そこで注意が必要なのは、離脱率が高いページ=悪いページではない、という点です。
離脱ページとは?
離脱ページとは、そのページがセッションの最後のぺーじになったことを指します。離脱率は、そのページのページビューの中で離脱ページとなった割合で、以下の計算式で求められます。
離脱率=離脱ページ数÷(該当ページの)ページビュー数
離脱ページは、ユーザーがサイト内でそれ以上読むのをやめてしまったページです。離脱率が高いページはその割合が高いということになります。
しかし、離脱率が高いページがそのまま悪いページとは言えません。必要な情報が見つかればサイトを去るのは自然な行為です。セッションごとに必ずどこかのページが離脱ページになるわけで、「そのページが意図するものか?「意図しないものか?」を見極めることが重要です。
離脱率が高くても致し方ないページ
・企業概要
・フォーム入力完了
・FAQ
離脱率が高い場合、即改善が必要なページ
・トップページ
・フォーム入力途中
・一覧ページ
「離脱ページ」のレポートを確認しよう
左のメニューから「行動→サイトコンテンツ→離脱ページ」をクリックします。離脱数が多いページ順でレポートが表示されます。
デバイスごとの離脱率を把握する
さらに、上記のレポートに「タブレットとPCのトラフィック」と「モバイル」の2つのセグメントを設定し、デバイスごとの離脱の状況を確認しましょう。
モバイルだけ切り出した際に目立って離脱率が高い場合、「トップページのメニュー表示がわかりづらくないか?」「表示が遅くないか?」などの観点で確認していく必要があります。
離脱率を改善するためには、「該当ぺージの次に何を見てほしいか、進んでほしいか」を決め、そこへの誘導をしっかり用意することが大切です。ページが行き止まりにならないように気をつけましょう。特に該当ページの内容を読み終わった・理解したあとの導線設計が重要です。自分でサイトを利用し、ひっかかりがないかを確認するというのも有効な方法の一つです。
4-5 ユーザーのアクションを見極め直帰をより正確に計測する
全セクションでは「離脱しても問題ないページ」を取り上げましたが、同様に「ページを一定時間読んだ」あるいは「ファイルをダウンロードした」などのユーザーがページの中で行ったアクションがあれば、直帰とカウントしないという考え方があります。これを計測できるようにすることで、ユーザーの離脱原因をより正確にとらえるとらえることができます。
「良い直帰」と「悪い直帰」とは?
一般的に「直帰の多いページ=悪いページ」と考えがちですが、実際には一概にそうとは言えません。直帰しても「良い直帰」と「悪い直帰」があります。例えば「ページを開いてすぐに別のサイトに遷移した人」と「ページのコンテンツをじっくり最後まで読んで別のサイトに遷移した人」の意味合いは大きく違います。じっくり読んで直帰したユーザーのかたはサイトの情報に満足して帰っていった可能性が大きいため、悪い直帰として問題にするべきではありません。
・良い直帰の例
商品紹介などのリンクをクリックして外部サイトに遷移した場合
ランディングページからファイルをダウンロードして離脱した場合
ページを特定の秒数以上見て、内容を理解したうえで直帰した場合
このような場合は「良い直帰」と考えてもいいのではないでしょうか
「良い直帰」を直帰にカウントしない設定をしよう
Googleアナリティクスでの実装・設定方法を説明します。Googleアナリティクスの計測記述やページのソースコードを修正する必要があるので、担当者に相談をしましょう。
設定例1:ページを特定の秒数以上見ていた場合は直帰扱いにしない
Googleアナリティクスで「一定時間閲覧した訪問を直帰率に含まない」設定にしましょう。Googleアナリティクスのトラッキングコードに次のような1行を追加します。「ga(‘send’,‘pageview’;」の直後の行に追加すると良いでしょう。
設定例2:ページ内でリンクをクリックした場合は直帰扱いにしない
この設定もイベント変数を利用します。ソースコードのリンク部分に「onClick」からはじまる以下のような記述を追加します。
・設定例
<a href="http://xxxxxxx" onClick="ga(‘send’,‘event’,‘カテゴリ’,‘アクション’,‘ラベル’,値);”>リンク</a>
太字の部分はリンクの種類に応じて個別に設定
通常のページ遷移に関しては直帰扱いになりません。ここで設定するのは主に「外部サイトへのリンク」「ファイルのダウンロード」「ぺージが遷移しないリンク」などになります。
イベントと直帰の関係を理解しよう
紹介した2つの設定例では、サイトに入って来て30秒以上経った、あるいはファイルをダウンロードした後に他のページを見ずに離脱しても「直帰」扱いとはなりません。
このように直帰率のカウントを意識して適切に設定することで、良い直帰が取り除かれ、直帰率のレポートで本当に注目すべき問題を洗い出すことができます。また、「ただスクロール率を図るために入れたイベントトラッキングコードにより直帰率が0に近くなってしまった」などという落とし穴にはまらいためにも「インタラクション」の概念を覚えておくことが大切です。
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