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【ブルックナーと向き合う4】ブルックナーおもしろエピソード

ブルックナーの演奏を生で聴いたことがある人は、そう多くないと思います。よほどのクラシック音楽ファンか、ブラヲタ諸氏か、オーケストラのありがたき定期会員の方々か。私は一度だけドイツでブルックナーの9番を生で聴いたことがあります。この話はまた別の機会に。

ブルックナーに向き合うことがこの企画の趣旨ですので、少しでもブルックナーに興味を持ってもらい、ブルックナーを知ってもらい、演奏会に足を運んでいただけたらなぁと、結構本気で思っております。そんな中で、今回のタイトル。

多くの大作曲家の中でも、とりわけ珍エピソードが多い作曲家が、ブルックナーです。多くのおもしろエピソードの中からピックアップしてみました。

数字のこだわり

ブルックナーが数字を数えることを趣味?としていたらしいです。彼は窮地に追いやられると急に数を数え出して、その心的不安を紛らわせたとか。計数マニア、ニュメロマニアとの説。自分の歩数を数え出したり、階段の数を数えたりしていたみたいですよ。「木の葉でも星でも砂粒でも、何でも、そして何もかも、数えなければ気がおさまらなかった」とか。楽曲の中にも、もしかするとそのこだわりが隠されているのかもしれません。実際00番はともかく(習作ですしね)、本来の2番を無効にして新たな2番を作った作曲家はたぶん、ブルックナーぐらいでしょう。計数マニアだったかどうかは諸説ありますが、松本清張の小説「数の風景」にも登場するくらい、有名な話のようです。

メモ魔・蒐集癖

心的不安なのか、単なるマニアなのか、日記代りのメモ帳と証明書などの蒐集はかなりの量になったようです。メモ帳は23冊も現存しており、ブルックナーの几帳面な性格の一端が分かります。蒐集癖としては証明書のコレクションや勲章など。オルガンの演奏能力の証明書や、収入を保証する証書、名誉博士号、果ては皇帝閣下からの叙勲まで!自ら積極的にもらえるように働きかけ、ゲットしていたようです。資格マニアみたいなものでしょうか。数字のこだわりにも通じる何かがありそうです。逆に本はあまり読まなかったらしく、蔵書はたった4冊だったとか。

少女崇拝

平たくいえばロリコン??たしかに若い女の子が好きで、気に入った子を見つけるとすぐに求婚したらしいです。その求婚の過程を綴った「嫁帖」なるものがあったとか。まあ恐らく上記のメモ帳のことでしょう。60人を超える若い女性の名がそこには記されていて、結構な連続アタック(例えば振られた次の日に会った女性にそのままアタックに行くとか!)で、かつ全敗という始末。独身オヤジには切ないエピソードですね。連続して当たって砕けられる強いメンタルも垣間見えます。うらやましい。実際ロリコン疑惑で教員養成学校のピアノ講師の職をクビになっていたり。とはいえダンスが得意だったらしく、ダンスホール(今だとクラブでしょうか)で女性と楽しんだこともメモ帳に残っていたりします。

死体フェチ

幼い頃から死とともにある修道院生活のせいか、死体に対する異常な興味があったとか。メキシコ皇帝マクシミリアンの遺体を見に行きたがったり、リンク劇場がまるごと燃えて観客を含む386人の死者が出たときに、わざわざ警察署に集められた死体を見に行ったり、師匠の頭蓋骨を手に入れようとしたり、ベートーヴェンの頭蓋骨をもたげてうやうやしく両手に捧げ持ったり。何ともおぞましいエピソードですね。しかし、我々がゾンビ映画を見るように、死体に慣れている?ブルックナーにとっては、死体は親近感のある??ものだったのかもしれません。死体に親近感があるって、言葉として破綻している気もします。。

最後に

いやあ、こうやって並べてみると、変な奴ですね。こういうところから、先入観が偏見が生まれるのでしょう。たしかに、生まれやすい。ネガティブを誘発する要素がこんなに満載な作曲家は他にいません。同性愛者のチャイコフスキーとか、ドビュッシーやワーグナーやリストの女癖の悪さなど、かわいいものです。

そんなネガティブな要素と対局にある天上の美しさを醸し出す彼の交響曲の世界。今度は作品の世界にも少し足を踏み入れて、もっともっと向き合って見たいと思います。

演奏会きてね


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