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【マーラー書きたい3】マーラーの魅力を堪能するにあたり

この土日は、マーラー漬け。土曜日の昼から夜まで、日曜日は朝から夕方まで練習漬け。お泊りでの飲み会がなく残念だったが、練習としてはとても密度の濃いものだった。

この時代に、オーケストラを、それもマーラーを趣味でやることに、ネガティブな人もいるだろう。まあ、そもそもアマチュアオーケストラという存在価値に思考を巡らすといろいろな回答があるだろう。この新たな時代に、さてさて、答えはすぐには見つからない。

われわれ趣味で楽器を演奏する音楽仲間の中でも、この時代の音楽の楽しみ方は、随分と様変わりだ。オーケストラや吹奏楽のように、たくさんの人が集まって演奏する形態はこれからは流行らないのかもしれない。「昔はそういうことを趣味の人たちもやってたんだよ」なんて、いつか思い出話になるかもしれない。

そのオーケストラ活動を、この時代であっで続けている我々の団に、私は誇りを持っている。とくに幹部のみなさんの、早く、また的確な判断には、称賛を超えて尊敬しかない。何もできない自分に、少し気後れがあるくらい。ややもすると後ろ指を刺されるかもしれない、そんな重要な決断を、タイムリーにしていただいている。ブラボーである。

この土日の集中練習に話を戻す。録音を聴いた。集中練習の甲斐はあったようだ。それにしても、みなさんの熱量が、すごい。みんな、好きなんだね、マーラー。本当に気持ちが良い。マーラーは、アマチュア的な音楽だとどこかで読んだが、アマチュアが演奏する意義は、少なからずあると思う。音楽に熱量が乗りやすい。もちろん、ブラームスも良いし、ベートーヴェン も素晴らしいし、ショスタコーヴィチとかチャイコフスキーとかも、アマチュアがやる意義はある、と思う。ちょっと違うのは、その熱量の乗せ方や乗り方だろうか。

マーラーが「夏の作曲家」ならではの、普段は指揮者として職人的な仕事を勤め、書きたいことを書いたオーケストラのための音楽。作曲家の音楽への熱量が、その他の作曲家と違うものであることは確かだ。

私も幸せなことに、マーラーについてはいくつかの交響曲に参加させてもらった。1番、3番、大地の歌、9番、そして今回の6番。

とても幸せだ。音楽を演奏する喜びに満ちている。当初聴いているだけの時は、4楽章の冗長さが気にはなっていたが、演奏する立場になると、これがまあ、楽しい。もちろん、魅せ場の多い2楽章や3楽章の方が、好きだけれど、それを踏まえて、4楽章のヤッタレ感、高揚感。それでいて、mollで終わるんだ、これが。1楽章は言わずもがな。大学生のときに、素直に「カッコいい!」と思ったのを思い出す。あとスケルツォ(今回は3楽章)が1楽章とよく似ていて、混同していたこともあった。2楽章については印象が薄かったときが長かったが、いつからか、素晴らしいメロディに涙することになっていた。なんというか、5番のアダージェットに勝るとも劣らない、幸せ感満載の音楽。

昨日の練習でも、2楽章の後半、フォルテで美しいフレーズをみんなで奏でるところがある。ここを演奏しながら、きましたコレ、ウルウルなとき。ゴギ先生と、みんなと、自分が一体となったような、ひとりでに涙が出そうになる、その瞬間。人間が作り出しているのだけれど、人知を超えた、何か。ああ、この瞬間が永遠であって欲しいと、心から思った。

マーラーの音楽には、そんな瞬間が訪れやすい構造になっているのかも。前回の9番でも、そうだった。会場を巻き込んだ、最後の沈黙。何物にも変え難い、至高の瞬間。言葉にすると陳腐になりそうな、その瞬間の空気。

さて、その瞬間を創り出すことができるのか。準備はまだまだ必要だ。熱量はある。もっと良くなる。どんどん、良くなる。是非、足を運んで下さい。

関西シティフィル 第70回定期演奏会
■日時:2021年2月28日(日)14:00開演
■会場:ザ・シンフォニーホール
■指揮:ギオルギ・バブアゼ
■曲目:マーラー / 交響曲第6番「悲劇的」
■入場料(全席指定):¥2,000 (座席指定料金¥500含む)
■チケット発売:チケットぴあ ✆0570-02-9999
(音声自動応答 / Pコード 192-074)


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