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お腹いっぱい感があり、それでいて何度も食べたくなる-「シン・エヴァンゲリオン」評

週末にシン・エヴァを観た。いろんな方面で評価やネタバレ有無を含めた考察など、もはや溢れかえっているので、私なりの感想を書くことも許して欲しい。ちなみにネタバレはしないでおく。まあ、ネタバレしても良いが、ネタバレしなくてもよい、ぐらいのテンション。なんというか、タイトル通り。

エヴァは韓国での大学時代、大学の先輩のススメで観た。正直、当時アニメを映画より格下に思っていたし、漫画すら新書や文庫本より格下に思っていた。今はそういう思いは全くないし、むしろそんな古い考えを持っていたことが恥ずかしくさえ思う。そんな古い考えを持ちつつも、韓国人の先輩から日本のアニメを勧められるという違和感。それも海賊版。ごめんなさい、著作権者の方々。当時の私のこづかでは買えませんでした。時効でお許しを。

当時のまだまだ若く多感な頃、相当の衝撃を受けた記憶が、いまだ生々しい。夢にも見るほどの、激しさ、切なさ、辛さ、性、感情、怒り。当時、同じく庵野監督の「彼氏彼女の事情」も観たのだが、実は印象が混同している。またどこかで観なければ。

エヴァを映画館で観るのははじめて。新劇場版はアマプラでQまで観た。いやぁ、たしかにロボットものだ。エヴァは、人間描写が凄まじいが故に、ロボットものだということを忘れさせる節がある。人間描写の面だけを思うとリビングの大画面やタブレットで十分だが、ロボットものの凄さを体験するには、是非とも映画館での視聴をオススメする。公開されている冒頭10分の動画から、逆に引き込まれる。「ああ公開されてるやつね、観たよ観たよ」と思うのは束の間、8号とマリの無双の活躍、それに守られて地味にパナソニックのノートパソコン(レッツノート風)でがんばるハッカーたち。緊迫感は映画館には勝てない。その後も、至るところで映画館ならではの格闘が繰り広げられる。

メカつながりで、一番驚いたのは、庵野監督の出身である山口県宇部市の風景が、出てきたときだ。最後のシーン(ネタバレ失礼)で宇部新川駅と宇部興産の映像が流れるが、ゲンドウの回想シーンでも、宇部興産の奥に入っていくときの風景と、恐らく宇部興産機械の屋上から撮影したであろう興産大橋の風景が映る。これは本当に驚いた。仕事で出入しているのもあって、グッときた。庵野監督のどこかのインタビューで、「エヴァは宇部興産のある宇部の風景から構想を得た」と言っていたと記憶しているが、それがまさにエヴァに出てくるとは。これは是非、また聖地巡礼しなければ。

さて、肝心の人間描写。まさに、庵野監督ならでは。シンジが消えていくときの絵コンテのシーンが斬新だった。穏やかな青い海(瀬戸内海だろうか)にひとりポツンと座っているシンジ。消えていくシンジ。いやはや、何とも。消えて終わることも、あるかと思った。「ああ、ここでこういう終わりなんだな」と。続きは映画館で。

他にも、目線を合わせないことも気になっていた。なるほど、それはQからだったのか。詳しくは下記の記事が素晴らしい。

ロボットや人間描写、目線のみならず、設定の話や、バックグラウンド、トリビア的なやつも楽しめる。私もキライじゃないが、何だろう、一番感じたのは、お腹いっぱい感だ。満腹。でもまた食べに行きたい。ラーメンもチャーハンも美味しい、小綺麗な定食屋のような。「今度はちょっとトッピングを変えてみようかな」とか、「今日はラーメンだけにしとこう」とか、いろいろ楽しめる。肩肘張らずに。でもそんな素晴らしいことじゃないかな。エンターテイメントとして、完成しているのだ。

あと1回は、映画館で観るかな。空白の14年の映像があるなら、観たいな。いずれ公開して欲しいな。エヴァロスというより、庵野監督ロスになって、シン・ゴジラをもう一回観てしまった。思わず、泣いた。庵野監督の感性。ナディアもHuluで観れるので、観てみよう。あ、映画館でもう一回観る前に、序破Qも観直さないと!

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