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・ファンタジーの世界観は綿密であるべきか?

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 唐突ですが、ある作品の感想で「読み手が引っ掛かる部分をシンクロ出来ないとストレスになる」というコメントがあったのと、フォロワーさんの呟きで閃いた事を文章にしてみようかと思います。なお事前にフォロワーさんに引用の許可を頂きました、ありがとうございます。
 そんな訳で今回は引用元の呟きから話題を挙げている点が多々あるので御了承ください。

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 ……とは述べたものの、さてどこから始めよう?
 引用元のフォロワーさんは“本格ファンタジー”がTwitterでトレンド入りしてたことから架空の世界観の構築に触れている。
 これはファンタジーやSFもしくは文章や映像に限らないことだと思うけど、読み手が作品に没入できるか否かはキャラクターや描写などを通して感じ取れる作品の世界観にシンクロ出来るか否かという要因は決して少なくない筈だ。
 そういう意味で現代社会を舞台にした作品は、作品内で説明描写が乏しくても比較対象が自分達の身の回りにある環境だから問題は少ないのかもしれない。逆に架空の世界が舞台の場合では比較対象が無い以上、何らかの形で説明や描写が必要になると考えられる。

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 では引用元で編集者もしくはライターの方が「読者はそんなもの(=背景としての世界観)見ない」という見方は?というと、これは一概に間違いとは言えない。
 私は中学生時代にTRPGのD&Dを体験した際に得た知識でJ・R・R・トールキン先生の『指輪物語』に興味を抱き、図書室に指輪物語が入荷したので喜び勇んで読んだのだが……当時の私は序盤で挫折した。
 先程までの記述通りなら綿密に構成された世界観の指輪物語を読むことに私が挫折したのは矛盾だと言える。
 まぁ極々当然のことだが作品というか文章のみで表現する小説を読み解くには相応の能力が要る。それは前提の知識だったり描写を理解する力だったり読み進めようとする意志だったり読書に没頭できる健全な身体や環境だったりと様々だ。

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 これ等の多岐にわたる要因を読解力という言葉で纏めるなら、読解力は個人によって差があるし知識量も関わるのだから、同一人物でもジャンルごとに読解力が上下するのも当然のことだ。
 つまり前述の中学生時代の私は指輪物語を楽しむための読解力が足りてなかった、もっと端的に言えば当時の私に指輪物語は難解すぎたのである。
 綿密な世界観や描写を理解できず没入感を得られなければ読んでも楽しくない(どころか没入感を得るのを阻害してしまう)ので、「読者はそんなもの(=背景としての世界観)見ない」という見方を一概に間違いと言えないのだ。

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 ライトノベルで“VRMMO”とか“異世界召喚”とか最近だと“追放”物とか似たような導入を多く見掛ける印象があるのも、文章を咀嚼して頭の中でイメージづけるハードルを下げた方が理解し易い(=読み易い)という利点はあると思う。
 例えばファンタジー定番の怪物を文章で表現した時に「皮膚は緑色で擦り切れた毛皮や鎧を身に纏い、使い古した剣や棍棒などの粗末な武器を持つ醜くて小柄な人間型の生き物」と記すより「ゴブリン」と記した方が分かり易い筈だ。もちろん古今のファンタジー作品でゴブリンのイメージが周知されていることが前提の話だが。
 ビジネス面で見るなら高い読解力を要して読者を限定する作品よりも、読解力が低くても読むことが出来て多くの人が手に取る可能性が高い作品の方を優先するのは当然のことだろう、ビジネスとして見るならば。

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 では高い読解力を要する綿密な世界観を構築したファンタジー作品に意味は無いのか?というと、そんなことは無い。
 ビジネスとしてなら販売数などの数字を取る必要があるし、それならターゲット層を理由も無く狭める必要も無い。だが“趣味”としてはどうだろう?
 ゲームの難易度でイージーやノーマルが物足りなく感じる人が居るように、綿密に構成された世界観を読み解いてイメージを拡げることで深く作品に没入することを好む人も居る。
 特に引用元のフォロワーさんは“本格ファンタジー”について語っているので、“本格”だからこそ舞台背景である架空の世界も味わって楽しみたいのだと思っている。
 なお引用元のスレッドで「架空の世界観を一定したレベルで構築してある」というのは、剣と魔法の中世風ファンタジーの世界観なのに携帯食料でインスタントなカップ麺が出てきたら何か違うと感じるだろうし、読み進めてチグハグな印象を受け続ければ没入感が失われて作品に対する興味も失ってしまう……ということだろうと勝手に解釈していた。

(っx_x)っ
 私自身は凝り性だけど飽きっぽい性分だと自覚してるので、世界観の背景描写を煩わしく感じて読むのを辞めてしまった作品もあるし、逆に描写に物足りなさを感じて読むのを辞めてしまった作品もある。
 最近の私は書籍として出版されている作品より小説投稿サイトの作品を読む傾向があるし、書き手の技術(読ませる文章を書ける上手さ)も影響してるだろうし、私自身の心身状態が作品と向き合う姿勢に影響を与えているのも否めない。
 こういうのは万人が納得する解は無い(というより非常に難しい)と思うし、これは個人的な主張ではあるが“本格”ファンタジーと銘打つならば、そんなにライトでなくても良いんじゃないか?とも思ってしまう。
 そう考えると世界観がチグハグで整っていないのは「読み手が引っ掛かる(関心を抱く)部分をシンクロ出来ないとストレスになる」ことに繋がるのだろう。
 趣味は娯楽なんだから細かい事柄は気にするべきではないのかもしれないけど、娯楽だからこそ拘りたい点を妥協したくないという考えも正しいことだと思う。

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