見出し画像

精一杯の好きをみせて!〜UT×YOASOBI『SING YOUR WORLD』ライブレポート




時、2022年7月4日。
YOASOBIにとっての、2度目の無観客生配信ライブだ。
1度目は有料だったが、今回はUNIQLOのUTとコラボしたことによる無料。
誰でもウェルカムさが、YOASOBIらしくもある。


前回が2月14日だったから、約5ヶ月経っている。
その間に、長袖の重ね着だった冬から、手足を半分出したくなる夏へとかわった。

声援のないマラソン大会や、学年を分けた運動会で『夜に駆ける』が流れ、いつの間にか空で歌えるようになった子供も、前回に続きまた一緒に、画面がかわるのを待つ。

YouTubeの開場が18時。開演まで1時間あるのは、さながらリアルに会場に足を運ぶようだ。


その間には、特段何もないかと思いきや、前回の有料ライブのダイジェストが!
なんと、これにはビックリした。すでにテンションが上がる。そして、チャット欄も同じ興奮を共有する、目が追いつかないほどの思いが流れ続ける。

しかも、今回は何ヶ国語ものコメントが。
かろうじて読めた英語や、日本語を習得された海を越えた人々からのラブコールが、YOASOBIのメロディやメッセージが5ヶ月で地球を駆け巡った確かな証で。


YOASOBI、すごい。

親子で顔を見合わせる。英語字幕の必要性がわかる。
3分前には、10万人を超える世界中のファンがカウントダウンしていた。


19時、オンタイム、開演。

UNIQLO CITYと書かれた薄暗いビルの中を、カメラが進んでいく。
人影の消えた夜のオフィスを、探検するように。

コラボ画や服が置かれた廊下をかいくぐり、カメラが急にターンした。
そこだけが、明るい。

見つけた。
ここが、今夜のYOASOBIの場所。
カメラがゆっくり、忍び込む。


【三原色】

部屋が暗転して、赤・緑・青がくっきりと、しかし深く壁を彩る。
ikuraちゃんが、息を吸って歌い出す。
色々個性のある3人の過去と未来を、Ayaseくんがパーカッションでテンポ良く刻んでいく。

そのリズムに、子供がテレビで流れている曲だと気付く。

三色の重なりを感じる白いライトが浮き上がらせたオフィスは、それぞれが過ごす日常の一コマを思わせた。



曲終わりで、ikuraちゃんから一言挨拶が。


【ハルジオン】

壁だと思っていたところに光が当たり、辺り一面が本棚になっていたと気付かされた。
それが部屋にいるような現実感と、オレンジ色の照明がレトロな雰囲気を出した。
ikuraちゃんの言葉が、心に抱えた昔語りをしているように聞こえた。


【MC】

白いガランとした部屋に、無造作な裸のトルソー。
そこにあるモニターの中にいるYOASOBIの2人だけが、そのとき生きていて、笑っていた。

MCが始まる。
ここはUNIQLO有明本部の中のUNIQLO CITY TOKYOで、オフィスであると。普通の場所でライブやらないねと笑う。
しかし、本に囲まれて、小説を曲にする自分達にはいい居場所だと。


UTのスローガン、『WEAR YOUR WORLD』は、『自分の好きを着る』こと、だから、自分の好きを表現して欲しいと私達に語った。


【もう少しだけ】

小気味良い軽く弾むイントロに、子供が「朝の歌だ。」と反応した。
登校前に、毎朝耳にするフレーズ。

ikuraちゃんが歌いながらメンバーのそばに、寄っていく。
友達を誘うように、ステップを踏みながら。
そして、自分の思うままにクルクルと色々な場所をめぐりながら、カメラに語りかける。


【たぶん】

あちこちに、服や布が並べられた廊下の向こうで、ポツンと立つikuraちゃんが1人歌い出す。
裸電球に浮き彫りになった廊下は、現実に干されたままの Tシャツやカーテンのようで、それにやんわり触れながら歩いてくる姿は、遠い記憶と今に1人葛藤しているようだった。

そして最後は信頼するAyaseくんのそばで、寂しそうに呟いた。


【怪物】

場面は急転した。
始めにいた場所は、怪しく毒々しいネオンカラーが入り混じり、点滅は激しい鼓動のようだった。

壁にメンバーの影が大きく映り、得体の知れないモンスター感を出す。

無造作に刺さった赤い蛍光灯が、血液のように光る中をさらに書類が舞い、足元に散らばる。
荒ぶり、追い求めるように、そしてそれを俯瞰するごとく、上空を回る映像。

「なんか、激しいね。」圧倒された子供が、やっと発した。



【Epilogue〜アンコール】

モノクロの中を虹がぼやけた。
再び灰色に包まれたオフィス、机、壁に貼られたポスターもどこかセピア色。

終わるか終わらないかわからない世界の話を、簡潔に無駄なものなく、ただ音を大切にしている空間だった。


【夜に駆ける】

一拍の静寂の後に、キャッチーなイントロが流れた。
「きた!」子供が色めき出す。

それに呼応するように、様々な色に切り替わる照明とYOASOBIネオンが際立つ。

あちこちから撮影するドローンが、疾走感と共に定まらない視点を感じさせ、まるでジェットコースターさながら落ちていくようだった。


【MC】

ここで、ikuraちゃんとAyaseくんが揃って長テーブルへと移動した。
せっかくだからチャットを見てみようと、PCの画面に向かうも

案の定というか、とても読めるような速さのコメント量ではないが、それでもいくつか頑張って拾ってくれた。
衣装がカッコいいに、タキシードできめたと喜び、ikuraちゃんの凝ったファンキーなヘアスタイルに、恐竜の強さの髪という答え。

24万8000人という視聴人数や反応に、笑顔が溢れる。

そして、スクショタイムをというコメントに、愛の交換会と

なんともかわいい!全世界に通じるサイン。


そして、最後のサプライズの場です、と向かう2人。

再びカメラが、過ぎた場所を通り追う。

たどり着いたところには、2人かと思った。


【ハルカ】

まさかの光景だった。
たくさんの、高校生達。
きちんとソーシャルディスタンスして、しかもよく見たらフェイスシールドまでしている。

大阪桐蔭高等学校吹奏楽部・172人とYOASOBIとが、息を合わせ幸せを願う優しい旋律は、重厚さと広がりを放ち、それはそれは美しくただ聴き惚れた。

初コラボの一曲が見事に成功して、「あとは、楽しむだけだね。」というikuraちゃんの一言で、次へのボルテージが上がった。


【群青】

センターステージのメンバーと、吹奏楽部がアイコンタクトを交わし呼吸を合わせる。
音が鳴り響く。
そこで、マーチングが始まった。

そして2人の手拍子と共に、空に紙吹雪が舞う。
ちょっと大きめで、むしろでっかくて派手でかまわないと思った。

共に自分の好きを表現する者達が集う力とそのビートは、画面を破壊しそうなほど溢れていた。

高校生達の、今精一杯できる一糸乱れぬマーチング。
ガードしての演奏だけでも大変だろうに、どの顔も笑みをたたえて、辛さを努力で乗り越えた成果が、音に胸を張らせていた。

乗り越える強さは、きっと自分や世界の糧となる。
舞い踊る紙吹雪は、その祝福にしか見えなかった。

なんて、なんて素晴らしいものをくれるんだろう。


ライブを見ていた誰もが、この瞬間

ikuraちゃんと同じ顔を、していただろう。

ありがとうが言いたいのは、私達です。


「もう、もう、すごかった!YOASOBIっていう魅力だね。」興奮した子供は、言葉にならない何かを受け取ったというキラキラした顔をしていた。


ちなみに、子供が選んだUTは、アンコールのTシャツ。
終わらずに再び赤くのぼる朝日と、再び自由に音を鳴らしてくれるのを待つ楽器。
親バカでも、いつか必ず、自分の力で好きを思う存分表現して生きていけると、思っている。


#UTYOASOBIライブ  #YOASOBI #UNIQLO #ライブレポート

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?