G7首脳宣言: 侵略行為に反対、法に基づく国際秩序を確立し、経済的威圧に対抗


通常、首脳宣言はサミットの最終日に公表されますが、今回は一日前倒しで行われました。ウクライナのゼレンスキー大統領が21日に対面で討議に加わる予定で、ウクライナ情勢に関する協議が中心となるため、G7の討議がおおむね終わったことを受けての発表でした。

首脳宣言はロシアによるウクライナ侵攻や中国の威圧的な行動への反対の意志が強く示され、前文では「G7は世界の課題に対応し、より良い未来への道筋をつけるため、これまで以上に結束する」との決意が明確に打ち出されました。

ウクライナ侵攻のような国際法を無視した覇権主義的な行動が国際秩序を揺らす事態に危機感を示し、「ロシアの残忍な侵略戦争は国際社会の基本的な規範に反し、全世界への脅威だ」と批判。ウクライナへの支援の強化と対ロシア制裁の強化が必要であると表明しました。

中国に対しても、人工島建設や頻繁な領海侵入を行う東・南シナ海の状況に「深刻な懸念」を示し、「力や威圧によるいかなる一方的な現状変更にも強く反対」すると明記しました。

台湾問題については、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」、「両岸問題の平和的解決」を促すと記しました。これは、フランスのマクロン大統領の「米中に追随しない」という発言を受けて、G7としての立場を改めて確認する意味が含まれていました。

首脳宣言ではさらに、半導体やレアアースといった重要物資の輸出入を制限する「経済的威圧」への対抗策も強調

。中国など特定国への依存を下げ、G7と新興・途上国で供給網を強化する枠組みを新設する方針を示しました。

しかし、同時に中国に対しては対話を通じて建設的な関係を構築する用意があると表明しました。また、国際的な課題での協力の必要性を強調し、ロシアがウクライナ侵攻を断念するように中国も圧力をかけるよう要求しました。

G7の影響力が低下していることを考慮し、首脳宣言では国際的な「パートナー」との協力を深める意向を示しました。特に新興・途上国「グローバルサウス」への協力が重視されましたが、この表現は「上から目線の言葉」と受けとめる国が存在するため避けられ、より包括的な協力の意向が示されました。

以上のような首脳宣言からは、G7が法に基づく国際秩序の確立と、経済的威圧に対抗する決意を明確に示し、共に問題解決に取り組むパートナーシップの強化を追求していく姿勢が読み取れます。

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