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八つの目に映る私は

私の部屋は家の角、つまり正面と横が庭と野菜園に面している。ベッドに立って手を伸ばしても届かない天井に、どこからか勝手にお邪魔してくる蜘蛛のみなさまが、堂々と私の天井で仁王立ちしている。

よく自分でもどうしてこんなに外流させる量の水分が涙用に蓄えられてあるのか疑問に思うことがある。泣きすぎて、鏡の前で少しマシな表情で泣く練習をすることもあれば、ただただ無性に悲しくて大の字で天井向きに涙をこぼすこともある。

寝室だけでなく、シャワールームにも。髪を洗い流して見上げると、たまに二名ほどこちらを凝視している。でも気がつくと、かなりのスピードで窓側の角へ向かっていく様子が伺える。あのお二方は親族なんだろうか、お隣さんなのだろうか。

蜘蛛にはどう見られているのだろう。八つの目にはどう映っているのだろう。可笑しいくらい同じ悩み事を繰り返しては涙を流し、立ち直りそうになってまた一マス目に戻るこの悪循環。どこかでナビを無視して進まなければ何も変わらないのは心底わかっている。頭ではわかっているのに、そう簡単にできないのは、シンプルにバカだからなのか、複雑な思考回路ができる脳があるからなのか。行動力の高い蜘蛛のみなさまに一度インタビューしてみたいところだ。

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