見出し画像

新世紀の寺子屋 第13回

新世紀の寺子屋は、子供を対象とした金融教育を行っています。現在4つのタイプの塾生がおります。
① 教室に直接現地参加の生徒さん
② オンラインで参加の生徒さん
③ 授業の録画配信だけの生徒さん
④ 金融教育に関心のあるお父さん、お母さん(オンラインか録画配信)
生徒さんは、いつでも募集中ですので、お気軽にご連絡ください。お試しに、録画授業を見てみたいという場合も、無料で送ります。

詳細は、以下のリンクを確認ください。

お知らせ③(金融教室 オンライン)|村松 一之(和キャピタル 運用本部部長) (note.com)

さて、第13回の内容を一部、公開します。今回はまず、話題のOpenAIの生成動画「Sora」を使って、世界のクリエイターが作成した素晴らしい動画を紹介しました。クオリティーがどんどん上がってますね。また最近の動画は、既に映画のようにそこにストーリーがあり、ドラマさえあるのに驚かされます。

さて、本題です。今回のテーマは、「分散投資」です。投資っぽくなってきましたね。しかし、生徒さんたちに質問したところ、分散投資という言葉は耳にしたことはないようでした。そうだよね。「分散」という言葉ですら、あまり使わないですよね。

分散投資は、守りの分散、攻めの分散、そして投機の分散があります。私が勝手に区分けしているだけですが・・・守りの分散は、分散することで守備力を高めるもの。分かりやすいですね。攻めの分散は、イメージはキングダムの城攻めですね。正門に全軍団を突撃させるやり方はよくないですよね。各方面から攻めることで、効果的に城を落とすのです。これも分かりやすい。投機の分散??なんじゃそれ?
こんなイメージです。クラスの中で、色んな局面に対応可能な強いチームを作るとします。選抜チームですね。どのように選びますか?背が高い人、足が速い人、持久力がある人、力が強い人、勉強が得意な人、暗記が得意な人、手先が器用な人、色々なタイプの生徒でチームを構成したいですよね。しかしです。しょせん、クラスの中のメンバーで多様性を追求しても、そこは限界がありますよね。同じ年代で、同じ地域で暮らしている人の集団なので、似ているわけです。例えばそのチームに、中年のおじさんが加わる、外国人が加わる、ゴリラを迎え入れる・・・そういう非日常的なメンバーを加えることで、チームの多様性は劇的にに高まるわけです。
投資も同じであり、自分が好きな銘柄、好きな業種、いつも身近な業界の中から分散するのが普通です。そこに毛色の異なるもの、例えば投機的なもの(ギャンブルではないですよ)を加えることで、ポートフォリオ全体の分散が強化されるという意味合いです。時には投機もポートフォリオには必要なのです。

分散のイメージとして、海外旅行のケースを取り上げました。実際、私が子供の頃は、海外旅行に行くときは、お財布を3個くらい用意して、お金を分散して持っていきました。腹巻のなかに、お金を入れたりもしましたね。これこそ分散です。盗まれることは防げないかもしれない。しかし、その状況でもピンチに陥らないために、分散させるてリスクを減らしているわけです。トラベラーズチェックなんてのもありましたね。サインしないと有効ではないお金の代替商品です。今は電子マネーやクレジットカードなんで、ちょと状況は違いますが、お財布を分けるなどは、守りの分散の良い事例です。
お財布を分けると言えば、一昔前は貯蓄のために活用されたこともありました。普段使っているお財布と貯蓄用の財布を分けるのです。日々の生活の中で少し節約できた分を、通常の財布から貯蓄用の財布に移すのです。貯蓄のための「攻めの分散」でしょう。

日常は分散で溢れています。色々な例を取り上げる中で、日本の税金も紹介しました。日本の税金も色んな種類がありますよね。個人から徴収する所得税、企業から取る法人税、そして子供であろうとお構いなしの消費税・・・これ以外にも政府はあらゆるもの税金をかけています。どうしてでしょうか?景気が良くても、悪くても、税収ができるだけ安定して徴収できるように財源を分散させているのです。それにしても、毎年70兆円もの税収を吸い上げる政府とは強大な存在ですよね。

エネルギーは分散できているのでしょうか?下の図は日本のエネルギー分散の状況です。東日本大震災前は、原子力で電源を分散させようとする方向性が明白でしたが、福島原発の事故以降は迷走し、未だに化石燃料に大きく依存する状況ですね。

ちなみに原子力発電所について、少しだけ取り上げました。左のチャートの水色のラインに注目してください。東日本大震災後に、チャートは急低下していますが、その後は急回復して、大きく伸びていますね。そうです。アジアで原発は急増しているのです。その主役はもちろん中国です。中国は50基以上の原発を保有していますが、現在は22基を建設中であり、とりあえず100基を目指して作りまくっています。これが世界の現実なのです。

日本のエネルギー輸入先は、下の図のように凄く偏っていますね。原油は中東、それ以外はオーストラリアです。

そのエネルギーは、中東から船でやってきます。チョークポイントと言う言葉を覚えておきましょう!と生徒さんに伝えました。チョークポイントと言う言葉は、これから何度も生徒さんは耳にすることになるでしょう。

さて、分散のついでの大前研一氏がよく仰っている人生をエンジョイするためのライフスタイルの分散を紹介しました。大前氏は、これからの時代に、下の4つのカテゴリーで、それぞれ2つの趣味を持って生きるべしと言っています。私だと屋内で1人の趣味は、「読書、漫画、格闘技視聴、ゲーム」あたり。屋外1人は「本屋さん巡り」、屋内複数は「麻雀」、屋外複数は「なし」みたいな感じで、なんてつまらない人間だと悲しくなりました。
生徒さんにこれを伝えたのは、趣味って急にはできないからです。趣味も育成させないとですよね。楽しい人生を作り上げてください!

いよいよ本題です。分散投資というと、必ず登場するのが、卵とボウルの事例ですね。卵をできるだけに壊さずに運ぶにはどうしたら良い?ということです。

模範解答としては、ボウルを分けるというものですね。1つ落としても、ボウルを分けておけば、全滅はしない。これがリスク分散だというわけです。どの金融の教科書にも掲載されています。
しかし、これではダメなんです。
投資と言うのは、本当にそうなのか?と考えることが肝心です。分散投資=卵をボウルに分ければいいのね、と腹落ちすることが良くないのですよ。
つまり、何で卵を全部、運ぶ必要があるのか?ボウルに分けるとしても、適正なボウルの数は?ボウルは異なる形状のほうが良いのか?そもそも1人で運ぶ必要があるのか?そして運ぶ先の道の形状はどうなのか?
色々なことを吟味するのが金融教育であり、投資で最も重要なことです。生徒さんには、ここを強調して伝えました。

分散クイズです。やってみてください。

問題①も問題②も、分散は効いていないとは言えないけど、不十分という事例ですね。①のケースでは、せっかくポケットを分散させるなら、同じコートの右と左より、どちらかはズボンのポケットのほうが良いですよね。コートそのものを持ってかれてしまうこともありますから。

簡単なクイズですが、意外に日常の中には、分散しているつもりでも、分散が不十分、あるいはもっと効果的な分散があるという事例はたくさんあるように思えます。

次はちょっと投資っぽくやりましょう。各ポートふぉりの問題点を抽出せよです。生徒さんも、色々な回答をしてくれました。

下の右側の事例は、実際には個人投資家ではあり得るパターンかと思います。決して悪くはないのですが、やはり「リスクが大き過ぎる」ポートフォリオですね。生徒さんに、この組み合わせはどうですか?と質問したら、1人の生徒さんが、「先が見えない」と回答してくれました。先が見えない・・・ちょっと爆笑してしまいました。

最後にインデックスによる長期投資と、個別株による長期投資を説明しました。何度もやってますけどね。

生徒さんと授業をしていると、私もいろいろと学びます。驚くのは、今の生徒さん、小学生も中学生も女子は「推し」が普通にいるんですよね。しかも、「推しがいる人?」って質問すると、「はい」と普通に手を挙げてくれます。推しって、隠れて応援するんじゃなく、堂々と発表できるものなのですね。素晴らしいです。
しかし、推しも「推しじゃなくなる」時がありますよね。生徒さんに「推しをやめるときは?」と聞いたら、やはり「悪いことをしたとき」という回答が多かったです。株式投資も同じです。不正会計や犯罪行為が発覚した場合には、即座に推しを止めるべきです。株式投資のお別れは簡単です。Just sell it! 第13回はこんな授業でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?