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CIVILSESSION 25: NATURAL

開催日:2019年10月19日
開催地:新代田 Dog Cafe ABC

CIVILSESSIONはクリエイティブチームCIVILTOKYOのメンバーが様々な分野の方と行うアートセッションです。決められたキーワードを元に、発表者たちが一週間で作品を制作します。キーワード発表から一週間後にそれぞれの作品のプレゼンを行い、参加者の投票でグランプリを決定します。

第25回目のキーワードは「NATURAL」。
CIVILTOKYOの3名とゲスト参加者3名の計6名で行いました。

・小山洵一郎(ウェブプロダクトデザイナー)
 http://junichirokoyama.com
・福田浩之(コピーライター)
 https://www.facebook.com/exparade
・ほりいさやか(コピーライター)
 https://twitter.com/horiisayaka

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グランプリは杉浦草介に決定しました。

「NATURAL」というキーワードだった第25回、意味が広くも共有できるニュアンスを持つ言葉だったこともあり、必然的に作品それぞれが呼応しているようにも見えました。各発表者のキーワードに対する捉え方は少しずつ違えど、すべてを見た後では発表された作品同士の共通点を多く感じます。

NATURALを「人の手が加わっていないもの」と捉えた杉浦は、人間がNATURALを作ることはできないけれど、それを感じること/イメージすることはできると説明。自然物のモノクロ写真から、その元の色をイメージするカードゲームを作り、観客と一緒にその場で遊び見事グランプリを獲得しました。

「お金がないときには良い文章がかける」という仮説をもとに、山森は自身の経済状況の推移を、それぞれの時期に書いたツイートと共に公開して観客を大いに笑わせました。
小山は実家のお墓に「自然」と書いてあることを思い出し、それを改めて考察。「始まりから始まりへ繰り返し流れていく様」が「自然」であるということではないか、という気づきから詩「Flow naturally」を作り、それを自身が制作したビートに乗せて朗読しました。
ほりいは自身の居住地区である下北沢で一番NATURALなものは何か?という疑問をもとにスーパーマーケットへ行き、自身の「ナチュラルである/ナチュラルでない」の基準を元に見つけたものたちを、写真や実物と共に発表しました。
キーワードの「生まれつき」という意味に着目した伊藤は、環境によって自然に身につく言語について考察し、同じ言語でも発言者によって差異が出てくると説明。自分が好きな谷川俊太郎の詩を「音声入力機能」を用いて、異なる4人が読み上げて生成される詩を発表しました。
福田は自身がナチュラルローソンが好きであることを解説し、「ナチュラル」がつくと少しものが良くなるのではないかと説明。色々な固有名詞や言葉に「ナチュラル」を加え、それがどうなるかをスライドを見せながら口頭で説明し、多くの笑いを誘いました。


① 山森文生(エンジニア)/Natural

自分の自然体について考える場合、どれかひとつの振る舞いを取り上げるのではなく、おそらく様々な立場に基づいた振る舞いを集計することで、自らの自然らしい体裁を定義することになるだろう。テキストに限ると、そのための操作は自然言語処理と呼ばれる領域に体系化されている。私は極めて自然な流れとして、自然言語から自らの自然体と向き合うことにした。

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② 杉浦草介(デザイナー)/NATURALS

言葉の意味をどう捉えるかにもよりますが、基本的にナチュラルって人の手が加わってないことを言うので、「ナチュラルを作る」ことはできない気がします。でも人は「ナチュラル」を感じることができて、かつナチュラルな「こと」「もの」「状態」をイメージすることもできちゃいます。
ナチュラルなものを白黒にした写真の、元の色をイメージするカードゲームを作りました。人工物は「デザイン」という名の下に、好みで色を変えちゃうので、例えば「軽自動車」「ダイニングチェア」「雑誌の表紙」「サインペン」がそれぞれ何色か問われても答えるのは難しかったり。でも自然のものには人間がイメージできる色があって、「タンポポの花」「桑の葉」「オオカミの毛」「湿った土」「荒れた海」の色は、一つじゃないかもしれないけど共通となるイメージカラーを持ちやすいですよね。なのでこのゲームを遊ぶ場には「自然の形+色」と、「(自然の形から色を想像できるという)人間という動物の自然な能力」が散らばります。自然も人間もおもしろ~い。

アートボード 11@3xのコピー

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③ 小山洵一郎(ウェブプロダクトデザイナー)/Flow naturally

ぱっと頭に浮かんだのは、実家の墓。そこには、書道家である父が書いた「自然」という書が彫ってある。何を思ってその文字を刻もうと思ったのだろう。自然という意味を、命というコンテクストで考えた結果、「始まりから始まりへ繰り返し流れていく様」という定義にたどり着いた。

今回は、そこへたどり着くまでに頭に浮かんだ言葉を詩に変換し、作成した音楽に乗せ発表しました。

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④ ほりいさやか(コピーライター)/Is it art ?

下北沢でいちばんnaturalなものを、naturalという名の作品にしてみる。

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⑤ 伊藤佑一郎(写真家)/アナーキーでいい感じのポエムの作り方

ナチュラルという言葉は、とてもなじみがある言葉なので、なんとなく知っていましたが、一応調べてみました。いくつもある意味の中で、大概ははいはいという感じだったのですが、ちょっとあーそうか、たしかにそういう使われ方してるなーと思い出した感があったのが「生まれつきの」という言葉でした。気になったのでここを起点に作品をつくることを考え始めました。
「生まれつき」というのはこの世に生をうけてからという意味で、それでいえば僕らは代表例として「顔」がそれにあたるのかもしれないなと思ったのですが、この「生まれつき」というのはなにもうまれてすぐというのだけではなく、物心つかないときにとか自分で意識してない持っているものみたいな意味もあると思うんです。なんかそっちの解釈の方が面白く発展しそうだなと思ったので、「自然のまま、生まれつき習得しているもの」ナチュラルにもっているものってなんだろうと。それは言語ではないかと思いました。
でも一重に日本語といっても、方言のようにそもそも話している言葉が変わるときもありますが、いわゆる標準語だとしても、環境や親、年齢や性別、ましてや声質やイントネーションが全員違っていますね。結構当たり前のことかもしれないけれど、改めてこう考えた時に、その違いってやっぱり面白いなと思うし、その違いやユニークさを作品にできないかなと考えました。

ところで、みなさん。話した言葉がパソコン上に文字になって表れる、音声テキスト変換機能をご存知ですか?最近ではスマホにもこの機能がついていて、いちいち文字を打つのが面倒くさい時にこのマイクボタンを押して「今日飲み会行ってくる。飯いらない。」とかいうと、文字にしてくれてメールすぐできちゃうというあの便利機能です。通常の場合、日本語で話して日本語に文字として変換してほしいわけですから、ほとんどいじることないと思うのですが、じつはこの音声テキスト変換は多言語に変換できます。よく考えれば当たり前ですが、日本でスマホを買ったって、買った人が日本人じゃないということが普通になった時代であるから、そういう仕様になっているの特に驚くことではないですよね。でもこれ不思議なもんで、日本語で「おはようございます」とか話しかけても、仮に英語変換お願いしても「Goog morning」とは変換されないんです。あくまでも翻訳ではなくて、変換なのです。音を拾ってテキストに変えてるだけなので、意味あいは言語をまたぐと全然変わってきます。まず試しによくある定型文を「音声変換・英語」にして読み上げてみました。するとよくわからない英文が出来上がりました。そしてその英語をgoogle 翻訳ボーンといれると。ちょっと不思議なポエムっぽいものができました。この方法をつかって文章の切れ方や韻の踏み方などをきちんと整えられている詩だったらおもしろい文章が出来上がるんではと。だったら自分がすきな谷川俊太郎の「ここ」という詩にしようとおもいました。この詩を題材として、ためしに4名の方にご協力いただき、自分が思うがままに読み上げてもらいました。同じ詩から生まれた全く違った4つの詩が出来上がりました。そして不思議なことに、出来上がった詩が4人それぞれのパーソナリティーにちょっとだけ関連しているのもこの作り方の面白い要素だと感じました。


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⑥ 福田浩之(コピーライター)/ナチュラルごっこ

ナチュラルローソンは、いい。「あんこギッフェリ」が特にウマい。あんこがギッフェリ入ってる。それぞれの店舗で焼いているそうだ。つまらないポリ袋に入った菓子パンが、店で焼きたてのパンに代わる。そういうジャンプが「ナチュラル」には期待できるのだ。だから、同じように「ナチュラル」をさまざまなものにくっつけてみた。結果は、どれもローソンを超えることはなかった。無印良品みたいになったりもした。いっそ、ユニクロやドン・キホーテでも「あんこギッフェリ」を売ったらいいのだ。たぶん買わないけど。今回「ナチュラルローソン」という言葉を、久々に口にする機会を得た。その昔は「ナチュロ」という略称で呼んでいたことを思い出した。字で書くと、シャンプーのネーミングみたいに見えるから不思議だね。

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