『暗い部屋で待ち合わせ』ライナーノート

世界を揺るがす某ウイルスがじわりじわりと国内に入ってきた頃、今までで一番精神的に辛かった。
とあることが自分の身に降りかかってきて(どんな事かは歌詞を読み解けば察することができるだろう)、身動きが取れない日が何日か続いた。
ちょうど外出自粛を呼びかけられていた期間と重なっていたので、都合がよかったのかもしれないがとにかく一歩も家の外には出なかった。
恐らく音楽がなかったらあの期間は生きながらえる事ができなかっただろう、と思うほど音楽を聴き続け、ただ時間が過ぎるのを待っていた。

今でこそ、ウイルスのせいで開催できない状況が続いているが、数年前まではさまざまな場所でフェスが開かれ、大勢でわいわいと音楽を楽しむ文化が大衆に浸透していた。
確かに風が吹き抜ける屋外で聴く音楽は心地がいい。
でも僕にとっての音楽は拠り所であり、社会との繋がりを一時的に遮断できるシェルターのようなものである。

そんな僕が絶望の中、音楽を聴き続けて何を思ったか。
曲を書こう。
これだった。
曲作りは趣味でしかなく、職業でもなんでもなかったが、とにかく曲を書きたかった。

いざ書き始めてみるとスラスラと書き進める事ができた。
暗い部屋に一人、ただ時が過ぎるのを待つ人。
何もかもが他人事のように思える毎日。
何かがきっかけで元に戻ることを淡く期待する。

そんな内容で2番のサビまで書き上げたが、今ひとつ曲の落とし所が見つかがず、しばらくの間放置をしていた。
巷ではオンライン飲みが流行りだし、僕も御多分にもれず参加した。
疎遠になっていた人とも話す機会ができ、口下手ではあるがアルコールも手伝いい、いい気分転換になるほど楽しむ事ができた。
それが転機となり、歌詞の続きを書き進める事ができた。

今までの歌詞とは見違えるほどに前向きな歌詞。
全く違う風景に戸惑いながらも、過去さえも携えて進んでいこうとする力強い歌詞だ。

最後のピースがはまり完成した曲は、恐らく僕が作れる中での最高傑作だ。


間奏とcメロは曲を書いていたときによく聴いていたメレンゲの『流れ星』のオマージュである。

また、この曲を作る中で最も影響を受けた曲は同じくメレンゲの『hole』


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?