Day43 バカでもNYからGrand Canyonまで自転車でこれる
3時頃目が覚めた。
静かな夜だった。
昨晩のようなショッキングピンク色の声は聞こえてこない。
これはこれでさみしい感じがする。しないか。
お手洗いに行くのが億劫になるほど冷え込んでいた。
アレックスが朝ごはんをつくってくれて、
UGさんとわたしのことを撮ってくれて、
わたしはちっぽけなりにお手紙をあげた。
素敵なシェアハウスにあたたかいアレックスとジョン、最高なフラッグスタッフと妄想をかきたてる喘ぎ声。ありがとうございました。
そして、この5日間共にしたUGさんともお別れ。
終始おしゃべりでなにも手伝わなかったこんなわたしにいつも笑ってくれて優しくしてくれてありがとうございました。
毎朝ふたりで行ってたスーパーもこれが最後。
ふたりでそれぞれ食材を買い、店の前で写真を撮った。
UGさんは南下してセドナへ、わたしは北上してグランドキャニオンへ。
また会いましょう!
誰がホームレスや。
家ない人と自転車の人。
どうもどうも、ちったです。
最後にまた装備の弱さを感じれた。わかってくれるかい、わたしの装備の弱さを。
よし、いきますぞ!!!
婦人さんにまたがってみると驚くほどこぎやすい。
アレックスがギアーを軽くしてくれていた。
なんてこったい。
登り坂でいちいち立つ必要もない。
婦人さんにこんなチカラがあったなんて、、、ごめんな今まで気づけなくて、、、
いじり方がわからないからギアーに今後触れないようにする。
フラッグスタッフを抜けると完全に山の中というか、自然の中にはいっていった。
とても気持ちいい。
ゆっくりゆっくりとネイチャーパワーを感じながらこいだ。
なんか禿げてきたなぁ。
なんて思ってません、はい。
8000フィートまできた。
風が冷たくて手がかじかんでなかなかうまく撮れない。
山をこえると
禿げてきたというかハゲ。
なんて思ってませんよ、思ってませんとも。
これまたまっさらな土地にでたなあ。
一体グランドキャニオンはいつ見えてくるんだい。
ひとまずおハゲ休憩にした。
こんなんでよくここまでこれたなあ、婦人さん。そんなことを考えながら味のしないパンにチョコソースをかける。
自分がいまグランドキャニオンに近づいているという実感がまったくわかなかった。だってグランドキャニオンに近付いてるはずなのに見えてこないんだもん。
思っていたほど辛くなくて下り坂もあって、順調にこぎすすめた。
グランドキャニオンっぽいのが見えはじめた。あれか、あれがグランドキャニオンなのか。
しかしグランドキャニオンと思しきその山とは違う方向に進んでいく。
あれ、遠ざかっていくじゃないかあ、、、!
地図通りひたすら進んでいくと、
なんとか夕方前にグランドキャニオンのふもとのマクドナルドに到着した。
なにも考えずにコーヒーを頼んだら値段の高さにびっくりした。
$3近くした。
高すぎる。
これが観光地プライスですか。ええ、これが、これが観光地プライスなんですね。はーん。
まあ、なあにその分おかわりしまくればいいじゃないか!
はっはっはっはっはっ
マクドナルドでゆっくりしながらグランドキャニオンについて調べはじめた。
なぜなら不可解だからだ。
グランドキャニオンのふもとまで来たというのに!
グランドキャニオンの姿が見えないんだもの!
どこにいんのさ!
こんなに大きいならすでに見えてるはずだろう。
みんなもそう思うだろう?
この時点までグランドキャニオンをエアーズロックと勘違いしていたなんて恥ずかしすぎて誰にも言えない。
NYから出発して約5000kmこいできたこの43日間、いろんなことがあったけど、はやくグランドキャニオンみたいなあ!と想像しながらそれを糧にここまで来れたのは間違いない。
まさかその糧が、、、
エアーズロックだっただなんて、、、
ばかやろう、、、
恥ずかしくて誰にも言えやしないじゃないか、、、
どんな顔して残りのアメリカの大地を進めばいいんだ、、、
というかcanyon(峡谷)って何度もわたしは口にしてきているじゃないか。
本当に英語がパッパラパーなんだなばかやろう、よくここまで来れたな!自分を責めた。恥ずかしすぎて。
しかしまあ、エアーズロックもみたかったけどその峡谷ちゃんとやらもみたいですな、うんうん。
峡谷ちゃん目指すとすっか!!
マザーキャンプグラウンドにひとまず滞在する予定だけど、
テントでも1泊$18するらしい。
そんなのこっちがハゲてしまうので、あと少しの距離だけど今夜はここらへんで寝ることにしよう。
マクドナルドの中で持参したパンにチョコソースかけてコソコソ夕飯を済ませた。
ここまでくるとちょくちょく日本語が聞こえてきて、
みんなにグランドキャニオンとエアーズロックは違うからねと教えてあげたかった。(知っとるわ)
夜になってマクドナルドをでると寒すぎて震えた。
え、なにこんなに寒くなるの!!聞いてないよ(山をバカにしていたな)
震えながら鍵をカチャカチャやっていると
「Are you Japanese?」
1台の車がわたしの隣で止まった。
声をかけてきたのは台湾の女性の方で、運転してるのはブルガリアの男性の方。
「クールすぎる。寒いから車の中で話さないか」
わたしはとくに急いでるわけでもなかったのでお邪魔することにした。(本当は寒すぎてすぐにでも一旦あたたまりたかった)
とってもあったかい。
車に乗るたびに人類の文明の偉大さを感じて、またおそろしく感じる。
わたしの下手くそな英語を嫌な顔もせずに聞いてくれて、そのたびにクールだと笑ってくれた。
「そうだこれ食べるか?」
といってマクドナルドのアップルパイをくれると、
「あたしももってる!」
もうひとつアップルオッパイをもらった。
コソコソとチョコソースかけながらパンを食べていたのがバレていたのだろうか、、、。
ありがたくいただいた。
チョコレートに、
日本のお菓子に、
日本のお薬、パブロンをくれた。
なんだ、
パブロンも優しさでできていたのかい。
すると気をつけてくれクールガイと言ってわたしに$5をくれた。
わたしはありがたくいただいて無事にゴールする。
本当に本当にありがとう。
ココロまであたたかくなって、ちっぽけながらお手紙をふたりにあげた。
ありがとう!!!!!
出会いに感謝!
ココロもあたたまったわたしはマックの裏の空き地にこそこそとテントを張って眠りについた。
なあに、エアーズロックじゃなくて峡谷ちゃんを見にきたんだぞ。
走行距離 : 120kmほど
現在地 : GrandCanyonのふもとTusayan
総走行距離:4780kmほど
2014.9.29