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企画メシに参加しているけど、そもそも”企画ってなんだ”という話


阿部広太郎さんが主宰する企画メシ2021の5回目の講義。
今回のテーマは本の企画、講師は、ライツ社代表の大塚啓志郎さんだ。

今回の講義では、そもそも「企画」とはなんなのか、という事について気付かされた時間だった。


企画には”コスト”が付き物である

大塚さんが講義の最後の「企画をどう捉えているか」という質問にこのように答えていた。

企画とは本を作ること。
本はだいたい1400円だから、企画は1400円になる。
例えば表紙を箔にするなら50円高くなるから、企画が1450円になったり、僕は企画をお金に換算しています。

これを聴いて、少し前に聞いた話を思い出した。

今年の6月ごろ、同期と同じようにせっせと就職活動をしていた時の話だ。
さまざまなイベントやアイデアを提案、企画する某企業の社員さんとの面接で、逆質問をするチャンスがあった。
企画メシが始まったばかりで、「企画とは何か」ということをよく考えていた頃だったので「企画をする上で重要なことはなんですか?」という質問をした。
そこで返って来た言葉は、

”企画を作る”のではなく、”企画を作って売る”ことを意識しています

当時は「いや、それはそうなんだろうけど、もっと夢のあるような、ワクワクするような想いとか教えて欲しいんだけどな…」とか思っていた。

けど、今回の大塚さんの話を聴いてやっと腹落ちした気がする。

企画には、必ずコストがかかるのだ。

友達と遊びに行くことも企画だとしよう。遊びの誘いにしても、貴重な休日を使うか否か、お金をかけるか、人間関係も含め心の余裕がどうか、などさまざまなコストが存在する。友人はそれに見合ったメリットや期待があれば、コストを払って参加してくれる。逆も然りだ。

本の場合でも、買ってくれる人にとってはお金や時間が同様にコストであろう。
しかしそれだけではない。本の企画では企画者一人ではなく、営業や作家さん、書店など多くの人が関わることで成立するが、彼らも本を作るにあたり多くのコストが存在する。
だから企画者はそのコストを払いたいと思える何かを伝えられなければ、そもそもその企画は成立しない。

編集者でもある大塚さんは、特にそのコストというものを意識しているのだろう。だからこそあの言葉があったのだと思う。
講義の中でも、

「関わる人を本気にさせる」
「そのためにお金をちゃんと払ったり、戦術や感情を全て伝える」
「自分の仕事だけでなく企画から営業の仕事まで経験しておく」

このようなことを話してくださった。
その誠実さと熱量が、関わる人の心を動かし、企画を成立させるために重要なポイントなのだ。


そして、反省もした。最近の課題として提案する企画は、どうしてもその場凌ぎになってしまっている。
感動メモで他の企画生に触れてもらったのも、最初の自己紹介のみだ。今の自分には、自分の企画には、誠実さや熱量が足りていない。
だからnoteでも、そもそも自分の企画がどうだったかという観点から振り返られる状況にないのだと。
そんなことも改めて痛感させられた。


なんで企画をする必要があるの

でも、そもそもなぜそこまでして企画をする必要があるのか、という話にもなってしまう。

大塚さんは、そこにもヒントをくれた。

大塚さんが高校生の頃の話。

付き合った彼女が新興宗教に入っていて、理解しようと自分も入ってみたりしたけど結局ダメだった。
こんなことも理解できない自分てしょぼい、何も知らない、世界を知らないなと思った。
でも、自分の方が大きくなったら、相手を理解できるんじゃないか、包めるんじゃないか。
そう思って世界を放浪した。

正直、一番講義で心が動いた瞬間だったかもしれない。

大学生になって、「一人ひとり背景も考え方も行動も何もかもが違う世界で、どうやったら傷つけずに生きていけるのか」ということはよく考える

僕はそのためには「優しい無関心」しか方法がないと今まで思っていた。
関わりすぎない、求めすぎない、主張しすぎない。なぜなら関心を持ちすぎて、自分を押し付けるようなことがあればそこに衝突が生まれるから。
でも、なんだか寂しいし、しっくりは来ていなかった。

だから、大塚さんの自分がもっと大きくなる、という表現は、少し自分が目指しているものに近いのかもしれないと思わされた。


そして、大きくなるには何が必要かと言えば、自分の知らない「何か」を経験することである。
その経験を提供するのが企画ではないだろうか。

例えば本を買うとき、本という企画にコストを払ったとき、私たちは予想通りの学びや感情しか得られないだろうか。知っていることを、思っていることを確認するだけの作業になるだろうか。
多くの場合そうではない。
少なくとも、知っていることの先に、ほんの少しだけ知らなかった「何か」があるはずだ。
自分が今は知らないその小さな「何か」に触れる経験、これこそが企画の本質なんじゃないか、そんなことを思うようになってきた。


まとめると、
企画にはコストがつきものである。だからこそ、コストを払ってもらうためにも企画する際には誠実さが必要である。

そして、企画は予想のちょっと先にある知らない「何か」を見せてくれるもの。そのちょっと先に企画の価値がある。



自分にとって企画とはなんなのか、少しずつ見えて来たような気がしてきましたが、焦らずにこれからの時間も楽しんで、知らない「何か」を知っていきたいと思います。

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