見出し画像

未来の防衛 : 技術革新がもたらす3つの地平線

防衛の未来は、急速に進化する技術によって大きく変わろうとしています。KPMGの最新レポートによると、この変化は3つの地平線に分けられ、それぞれが防衛組織の能力を劇的に向上させる可能性があります。

第1の地平線:コネクテッド・エンタープライズ この段階では、複雑な防衛組織の様々な要素を前線、中間、後方にわたって接続することが重要となります。5Gエコシステムの導入により、ほぼリアルタイムの意思決定支援と共通の作戦図が可能になると予想されています。また、専門的な宇宙軍やサイバー軍の創設も見込まれています。

第2の地平線:瞬時に情報を得られるエンタープライズ エッジコンピューティングとIoT(モノのインターネット)の進歩により、情報の効率的な処理と即時の共有が可能になります。これにより、意思決定者はリアルタイムで必要な情報にアクセスできるようになります。

第3の地平線:自動化されたエンタープライズ ロボット工学とエッジでのリアルタイム情報処理の組み合わせにより、大規模な自動意思決定が可能になります。人間に代わってロボットや遠隔操縦車両が作戦を遂行し、中間・後方業務では知的自動化(IA)やロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が効率を大幅に向上させると予想されています。

一方で、最先端の軍事技術も急速に発展しています。特に注目されているのは以下の分野です:

  1. 極超音速兵器: 米国、中国、ロシアなどが開発を進めている極超音速滑空兵器(HGV)や極超音速巡航ミサイル(HCM)は、マッハ5以上の速度で飛行し、高い機動性を持つため、探知や迎撃が困難とされています。

  2. 高出力エネルギー技術: レールガン、高出力レーザー兵器、高出力マイクロ波兵器などが、多様な空中脅威に対する新たな防衛手段として開発されています。例えば、レーザー兵器は小型無人機や小型船舶に対して低コストで効果的な迎撃手段となる可能性があります。

これらの技術革新により、防衛組織はより柔軟で効果的な作戦遂行能力を獲得すると同時に、新たな脅威にも対応できるようになると期待されています。しかし、軍事作戦には常に不確実性が伴うため、柔軟な計画立案と迅速な戦略・戦術の変更能力が引き続き重要となります。

防衛技術の進歩は目覚ましいものがありますが、その使用には慎重な検討と倫理的配慮が必要不可欠です。今後も各国の防衛組織は、技術革新と人的要素のバランスを取りながら、安全保障環境の変化に適応していくことが求められるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?