【読書】『我々は皆、孤独である』

作品のタイトル『我々は皆、孤独である』そんなの当たり前だ。
どれだけ友達がいたって孤独でない瞬間なんてない。一番近い親友でさえ自分のことなんて2割も分かってないだろう。
だって誰とでも分かり合えるならきっと芸術も文化も生まれていないだろうから。

作品名からは想像していなかったが、これは推理小説である。しかし推理小説といっても密室もトリックも証拠すらもない、雲をつかむような推理が展開されていく。

私を殺したのは誰ですか。

これは依頼者の前世を調べる探偵のお話なのだ。独特で奇妙な世界観、気づいたらいつの間にか補助線が引かれている感覚が広がっている。

著者の貴志祐介さんの本は中学生のころから読んできた。自分の頭で社会を構成する時期に著者の思想に触れていたせいか、この作品の前世観に強く共感を覚えた。

この本を通して前世はあるのかないのか、あるとしたらどんなシステムになっているのか。答えのない問いをぐるぐる考えさせられるところまでがこの作品の楽しいところだった。たまには「そんなこと考えても意味がない」「何の価値にもならないじゃないか」とかつまらないことを言わずに、ぼーっと考えることが人生の深みにつながるのではないのだろうか

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