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“内トラ”という言葉をご存知でしょうか。
“内トラ”の内は「内輪」「身内」、トラは「エキストラ」を意味します。
言ってみれば、スタッフがエキストラを務める意味を指します。

先日、主として下関を舞台とした映画製作の本編ドラマ、下関パートの現場制作サポートをさせていただきました。
情報解禁のタイミングから詳細はまだお伝えできないのですが、『ハードロマンチッカー』『巫女っちゃけん』の下関出身、グ・スーヨン監督最新作につき公開は来年秋口…とだけでも興味惹かれるものはあるのではないでしょうか。
改めまして、情報解禁時に様々内容についてはご紹介させていただけたらと思います。

そこで、これまでも私自身概して内トラに入るケースがあったのですが、今回もその任が巡ってきました。
エキストラの存在意義は大きく、所謂風景の一部に特化しなければいけません。例えば雑踏の人混み、喫茶店内の既存客…そうした風景の中でお芝居が展開されるための空気の役割を果たします。
とは言え、空気だからと言って何もしないでただ立っていれば良いという事にはならず、キャストの芝居のタイミングの中でフレームアウトやフレームインも段取られ、カメラ内に収まる風景として時に動きも要求されます。その点ではエキストラも空気を演じなくてはなりません。
ケースバイケースで年に一度くらいはドラマタイプのプロモーション映像の演出をする際、エキストラを配置する事もあるのですが、見事な動きに頷くばかりの自分も逆の立場となると確信の無さが露呈する緊張感がありました。
加えて初日撮影、スケジュール最初のシーンでの主人公が演じているタイミングでその背景にいる人の役割でしたので、私の頭には‘空気がせっかくの構図を邪魔してはいけない’と思い込んでいた所為か、フレームインからの立ち位置で極力ノーアクションでいました。
その光景を見ていた、百戦錬磨のベテランラインプロデューサーから「鴻池さん、首を振られたり手にしているモノも使って少し動きを付けられては」というアドバイスをいただいた事で、構図において邪魔をしなさ過ぎるのも空気の役割を果たす事にはならないと気づいたのです。それも然もありなんです。エキストラとは言え、演じる難しさに感じ入りました。
先ほどのラインプロデューサー曰く「私なんか、内トラでよくやり過ぎる方でしたので、監督からよく怒られましたよ」

そして、監督のOKが出てプレヴュー画面からはアドバイス効果の片鱗は確かに伺えるものになったと、思いたいということでしょうか…その点につきましては来年秋口公開に、私を知る方々に観ていただけましたらと。それはさておき、映画本編どうぞご期待ください。

立場変われば、また気づきも多く、こうした作品づくりにおいて、演じる側に演出する側と関係性の妙にやはり稀有な縁が積み重なっているとも思えてなりません。
結局、仕事を通して新たな人たちとの出逢いが楽しみと感じられる事、それが日々のモチベーションに昇華しているといって過言ではないのです。

山口県下関市角島大橋を臨む

風景撮影にいそしむ観光客役の内トラで実際、その時に人知れず撮影していた中のあるカットです。
良い天候に恵まれました。

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