村上春樹「1Q84」で読書会をしました。/本編#1


新歓時期にいろいろお話をきくと、村上春樹を読むひとがたくさんいて、これはもう読書会を開くしかない、というまぁそういう運びで「1Q84」読書会を開催しました。
結論から申し上げますと、これが大大盛り上がり。計6人で活発な意見交換が繰り広げられました。以下読書会のレポートになります。

(写真撮って活動感出そうとしたんですが、忘れました。ゴメンなさい!)



○「1Q84」の良かった所,微妙だった所

まずは最初に発表しあった「1Q84」の良かった/良くなかった所。各人の率直な意見が新鮮でした。

 ●良かった所

・圧倒的リーダビリティ
・めちゃくちゃ読みやすい
・少し現実味のあるファンタジー要素
・(長編の村上春樹作品としては)割と通常運転?
・(他長編含め)LGBTQの扱いが自然だった、演出としての"役割"を負わされていなかった
・青豆の内面描写がすごい、自身と重なる部分もあった
・1巻目時点でのちの伏線(月のモチーフ,音楽の布石)が大量に張ってある
・2周目のほうが楽しめた、進まなさも遊びと捉えれば楽しめた

 ●微妙だった所

・さすがに文庫6巻は長すぎ
・きれいにまとめすぎ、終盤の豪速ラストスパート問題
・学生運動をモチーフにしているであろう"あけぼの""さきがけ"のテーマが未回収で終わってしまった、=学生運動のモチーフが途中からオウム的カルトのモチーフにすり替わってしまう問題
・メインプロットの進みがだいぶゆっくり


○「1Q84」で議論

続いて、先ほどの感想を踏まえて議論へ。司会からのパスを中心に、様々な話題へ飛び火してスパークしまくりました。議論の内容を書くと大変な量になるので、こちらではざっくりとした題目だけ紹介します。詳しい議論をききたい/したいひとは、次の読書会へぜひご参加を!

 ●話したテーマ


・異化経験のメタファーとしての「1Q84」
・「1Q84」とオーウェル「1984年」、リトル・ピープルとビッグブラザー
・ベケット「人べらし役」におけるリトル・ピープル、ユングの精神分析、上昇と下降のモチーフが意味するところ
・ハードボイルド的文体(チャンドラー,ハメットetc)と村上文体、その表層性
・「1Q84」冒頭のエピグラフ
・セカイ系の始祖としての村上春樹
・村上春樹「アンダーグラウンド」は最重要作品
・諌山創「進撃の巨人」
・濱口竜介「ドライブ・マイ・カー」、炎上事案、コミュニケーション不全、ラスト展開の解釈、経験していない喪失に思いを馳せること、セリフ「ウラジオストクで映画祭…」は(ウクライナ侵攻後の)いまきくと古い、赤と緑の問題/「海辺のカフカ」論、原作で描かれるテーマとの違い(夫婦間の理解⇔他者との理解)
・濱口竜介作品の一貫性、他者を理解すること、その不可能性に挑むこと
・レム「ソラリス」訳者の「ドライブ・マイ・カー」は実質ソラリス発言、は、めちゃくちゃ重要
・理解不能な他者との接触(とその限界)を描く「ソラリス」
・現実/虚構を攪乱したい濱口と、現実/虚構をある程度線引きしたがる村上春樹の違い、あるいは逆説的類似






今回の読書会、司会の私含め読書会経験がないメンバーがほとんどで上手くいくか大いに不安でした。が、議論は白熱し対面チームは4,5時間に渡って「1Q84」の話から好きな映画の話まで本当にいろいろな話をしました。

次回の読書会は、F・スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャッビー」を課題図書に、6月末に開催予定です。村上春樹繋がりということで。
お楽しみに!!!


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