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懐深い日台共作ドラマ「路ー台湾エクスプレスー」第1回に魅了されて〜緊急事態宣言Day40

 昨日の夕方に元町映画館が5月30日(土)に前倒しで再開との報告が届き、少しトンネルの先に光が見えたような、相変わらずステイホームの週末。楽しみにしていた日台共作ドラマ「路ー台湾エクスプレスー」第1回がNHKでオンエアされた。テレビの地上波は再放送ばかりで、ほぼ配信の映画を観ている状態だが、このドラマ、キャストも井浦新さん、大東駿介さんと好きな俳優が出演しているだけでなく、台湾高速鉄道(台湾新幹線)開業までの道のりを描いたドラマであり、波瑠さんが演じる、結婚を約束した彼がいる春香と、台湾人気アイドルで俳優のアーロン演じるエリックとの運命の恋を描いたドラマでもある。さらには台湾高速鉄道が開通することで生活が大幅に変わることが予想される、当時はまだのどかな風情の台南・高雄に生きる若者たちも登場し、多彩な群像劇になる感触を覚えていると…。

 今は日本の建築関係で働くエリックは、参加した講演会の講師だった葉山に感銘を受け、葉山の自宅でさらに建築の話を聞くが、その後葉山の入院中の妻から2人とも湾生であることが明かされる。台湾に帰りたいという妻は、台湾時代に何かしこりを残している葉山を台湾に連れて行ってほしいとエリックに懇願するのだ。

 湾生とは、戦前、日本統治下の台湾で生まれ育った日本人。現地の台湾人や台湾原住民たちと同じ学校に通っていたが、終戦後ごくわずかの荷物を手に日本に引き揚げ、何もない日本でゼロからの出発となった人がほとんどだったという。私も、子ども時代や青春時代を台湾で過ごした湾生の人たちに密着した台湾のホァン・ミンチェン監督によるドキュメンタリー映画『湾生回家』が大阪アジアン映画祭で海外初上映されたとき、初めて湾生の存在を知った。今でも台湾での日々を宝物のように大事にし、再び台湾の地を踏みたいと思う湾生の人だけでなく、このように台湾人の親友に放った占領国意識からくる一言をまだ悔いて生きている湾生の人が描かれるとは。日台の歴史であまり語られない歴史がドラマで描かれることにじわりと感動を覚えた。さすが吉田修一、これは原作も読まなければ!

NHK日台共作ドラマ「路ー台湾エクスプレスー」


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