見出し画像

【映画】「アイ・ウェイウェイ:ユア・トゥルーリー」 (Ai Weiwei: Yours Truly)と「1000 Years of Joys and Sorrows」

マイ・ヒーローであるアイ・ウェイウェイのメモワールが発売になってました!タイトルは「1000 Years of Joys and Sorrows」。「千年の喜びと悲しみ」みたいな感じ?「百年の孤独」のもじりもあるのかな?今年は積読本、観てないソフトを優先的に・・・と誓ってはいるものの、これはやっぱり買って読まないと。

振り返ると、アイ・ウェイウェイとの出会いはたまたま美術館で観たドキュメンタリー「Ai Weiwei: The Fake Case」だった。こんなとんでもない人がいたのか!とすっかり虜に。現存するアーティストではダントツで大好き、大尊敬。

ほかにも日本公開になったドキュメンタリー「アイ・ウェイウェイは謝らない」もある。これはソフトを買ってみました。まあ当然面白くないはずがない。

そんなわけで、本買おうかな、「Ai Weiwei: The Fake Case」も中古で安く買えないかな、とあれこれ検索していたところ、別のドキュメンタリー「アイ・ウェイウェイ:ユア・トゥルーリー」がアマプラで観れるらしい!早速みました。

結論から言うとこんなに感動するとは思わなかった・・・。泣いた。

本作は刑務所があったことで有名なサンフランシスコの観光地、アルカトラズ島で行われたアイ・ウェイウェイの展示会「@Large: Ai Weiwei on Alcatraz」のドキュメンタリー。at largeって容疑者は逃走中、捕まっていません、というニュースでよく見ますね。

展示は、言論の自由への抑圧や政府の不正を告発したことで、不当に刑務所に収監されている、世界中の活動家らに焦点を当てている。アルカトラズ島の歴史、アイ・ウェイウェイの経験と層をなす構造になっていて、その展示に込められたメッセージを伝えるアートもすべて素晴らしく、ぜひ観て、というしかない。

展示会のタイトルは「@Large」だけど、このドキュメンタリーのタイトルは「Yours Truly」。手紙の結句で決まり文句(なんで邦題を「ユア・トゥルーリー」にしたのかは謎)。実はこの展示会のテーマとなった人々に、展示会を訪れた人から絵葉書を出せるようになっていて、最終的には9万数千通もの絵葉書が実際に各国の刑務所に郵送されたとのこと。「あなたは忘れられていない」「あなたのことを学びました」「これからも強く、勇敢でいて」。本人や家族にちゃんと届いたものも実際にあり、彼らから監督や展示会に反応もあった。

権力側の圧力は「あなたのこと、あなたのやっていることは、誰も関心がないようなことなんですよ」と、あの手この手で、気力や精神をくじくことが一番の目的だ。しかし、アートという思いがけない方法を通じて、彼らの信念を紹介しただけで、人々は行動し、権力側が無視できない状況をアートが見事に見える形でつくりだしていく様は、痛快で感動的だ。

絵葉書はそれぞれの国の美しい国鳥や国花の写真が使われている。もちろん鳥は自由を象徴しているとしても、「今、あなたは国の醜い部分を経験しているかもしれないけど、祖国の美しさは、自然に、国民の心に、絶対に存在している」と伝えたいのではないか、と思った。

なお、CIAによる拷問の隠蔽を証言したことによって投獄された方も出てきますが、配信で以前みたアダム・ドライバー主演の「ザ・レポート」を思い出した。これもアマプラにあります。観るべき作品です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?