キネ坊主の映画人生を紐解く⑤

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昨日は、私の人生ベストと云っても過言ではない作品を紹介しました。

これと同じぐらいに大切にしている、私の青春ベスト作品があります!

それは『アイデン&ティティ』(2003)

[個性派俳優、田口トモロヲの初監督作。原作はみうらじゅんの自伝的コミック、脚本は売れっ子の宮藤官九郎。舞台はバンドブームが席巻した頃の東京。4人組ロックバンド、SPEED WAYはブームの中でメジャーデビューするが、人気はパッとせず生活も同じ。純粋なロック少年であるギターの中島は、ボーカルのジョニーに売れる曲を書けと言われて反撥、いい曲を書こうとするが書けない。そこにロックの神様、ディランが現れる。]

私が大学3回生の冬、テアトル梅田での公開初日、峯田和伸さんと田口トモロヲ監督による舞台挨拶があり、開場前から梅田ロフトの周りに並んで待っていたことを思い出します。朝早くから並んだけど、結局、席には座れず…立ち見になるわけですが、左側の通路で前の方まで進めたので、床に座って鑑賞しましたね。でも、床からスクリーンを見上げて鑑賞するスタイル、良いですよ。なんか永遠のロック少年になった気分でした…♪

冒頭から日本のバンドブーム時代におけるレジェンドの方々へのインタビューに始まり、人気になったバンドはこんなに人気になってこんなことが出来たの!?と驚きと羨望の眼差しで見入ってしまいました…

でも、ブームが起こるということは、生き残っていく者と廃れていく者が出てくるわけで…そんな中で世間に望まれる楽曲を制作していくか、或いは、世間が何と言おうとも自身が心から作りたい楽曲を作り続けていくか。主人公が心の中でせめぎ合っていく思いの先に光を見い出していく物語です。これは、音楽だけに限らず映画制作含め様々な創作活動においても関係ある話ですよね。

だからこそ、劇中に出てくる、ボブ・ディランによる「Buckets of Rain」の歌詞

”You do what you must do and ya do it well” が

”やらなきゃならないことを やるだけさ。だから うまくいんだよ。”

と訳され、観客の心を掴んで離さないんですよ。

そして、主人公の彼女を演じた麻生久美子さん。実は、私、本作でようやくちゃんと認識したのですが…こんな彼女が欲しい!ってどれほど思ったことか!こんなにダメな男をこれだけ信じて、やりたいことに突き進むことを応援してくれるなんて…!そんなパートナーは滅多に見つからないだろうし、簡単に手放すんじゃねぇぞ!気を緩めたら、いとも簡単に失くしてしまうぞ!って教えられたような気がするぜ!

なんだかよく分からない文体になってしまいましたが、それだけ私にとっても青春ベストな作品であります!

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