キネ坊主の映画人生を紐解く21

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今日は”坊主”にしてきました!いつもなら、さぁ、これから取材っていうとこなんですが…ちょいとSkype取材も計画しております…

さて、今回は、今は無き大阪の映画館(劇場)、扇町ミュージアムスクエアに初めて行って観た作品『クロエ』(2002)です。

[奇病に侵された妻と、彼女を支える夫の愛を描いたドラマ。繊細な雰囲気をもつクロエと結婚した高太郎。だが彼女は、胸に睡蓮のつぼみを宿す病気で倒れてしまう。ほかの花を近づければつぼみの成長が止まることを知った高太郎は、花を買うために夢中で働きつづける。]

ボリス・ヴィアンの『日々の泡』『うたかたの日々』をモチーフにした本作。2013年に公開されたフランス映画『ムード・インディゴ うたかたの日々』のようなファンタジー要素は強くなく、日本の風土に合わせたアレンジがバランスよく盛り込まれています。

プラネタリウムで働く高太郎を永瀬正敏さんが演じており、真摯な佇まいが好印象に残っています。クロエを演じたのは、ともさかりえさん。天使のような佇まいであったことを覚えています。それは今年公開された『mellow』でのキャラクターにも受け継がれているところもありますよね。

そもそも、ボリス・ヴィアンによる原作が、新婚旅行後に、クロエの肺の中に睡蓮の蕾ができる病気にかかってしまう話。この奇病についてファンタジー要素を強めずに表現し、如何にして主人公の青年が懸命になってクロエの為に自らの身を滅ぼしていく姿を描いていくかが見どころかな。本作での永瀬さんの献身的な姿は良かったですよ。しかし、それ故にクロエと過ごす時間が失われていき、つぼみの成長を留めておくことが出来ても、クロエの心も病んでしまい…なんだか切ない話やったなぁと憶えています…

なお、本作を手掛けた利重剛監督。最近は俳優として出演することが多いですが、監督の際には、美しい映像制作を手掛けていることが多く、本作でもその才能は遺憾なく発揮されております。味のある俳優としての演技も好きなんですが、久しぶりに監督作品も観たくなってますよ。って、ここでラブコールしてどうすんだ!?ってとこですが、『クロエ』はいい作品です!


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