キネ坊主の映画人生を紐解く⑨

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昨日からは大学生になって観た作品について書くようになりました。

初めて宮崎あおいさんを観た『EUREKA』ですね。センセーショナルな作品でしたが、その次に観たセンセーショナルな作品を今回は取り上げます。

それは『DISTANCE』(2001)

[3年前にカルト教団が起こした殺人事件の加害者遺族である4人の男女は、1年に1度再会し、遺灰が沈む湖で手を合わせることにしていた。その年、湖から帰ろうとする4人の車がなくなるというアクシデントに見舞われた彼らは、同じくバイクをなくした元信者の青年とともに、かつて信者たちが暮らしていたロッジで一夜を過ごすことになる…]

公開されたのが2001年ですから、所謂あの教団のことだと思わざるを得ないわけですが…その信者の遺族は被害者なのか、加害者なのか…人によっては簡単に断言する方もいますが、簡単には応えられるものではないですよね。

この命題を乗り越えた先に、本来の家族について考え、家族を想うことの大切さについて考えさせられる作品でありました。

なお、この作品では、各キャストに手渡された脚本にはそれぞれの出演部分が書かれているだけで、相手の台詞は書き込まれていない仕様。俳優達は物語の全貌を映画が完成するまで知らなかったようです。つまり、物語の空白の部分は、それぞれの役者の感性によって作られていったという。

是枝監督が初期作品からよく用いている手法ですよね。ドキュメンタリー制作出身ならでは手法だと感じます。ある種のロードムービーを観ているような感覚にもなります。

この作品を私は三宮アサヒシネマで鑑賞しました。そして、主演の伊勢谷友介さんと是枝裕和監督の舞台挨拶付きでした。私にとっては初めての舞台挨拶体験でした。劇場が開場前からかなりの人が並んでいて、列の最後尾がよく分からない状態で向かい、最初は苦労しましたが、どうにか座席は確保できたかな。

舞台挨拶の内容がどんな内容だったかは今ではよく覚えていませんが、伊勢谷さんが格好良かったことだけは印象に残っています。あと、思い切って質問しようと挙手したけど時間足らずでチャンスはなかったかな…

でも、舞台挨拶が終わってロビーに出たら、なんとそこにはパンフレットに気軽にサインしている是枝監督の御姿が…!!今じゃ考えられないですよね。私も思い切ってお願いしました。

当時の私は、やっかいなインカレサークルに入ってしまっていた状態だったので、脱出しようか悶々としていました。そこで、ある質問をしてみるとあっさりと答えて頂きまして…なんだかそれが良かったのか、その後にそのサークルは脱出できて、人生を棒に振らず、幸せな日々を現在も送っています。是枝監督、あの時はありがとうございました!

これがあったからというわけではありませんが、現在も一番好きな日本映画監督であります!

なお『DISTANCE』を観た後に過去作品を遡っていき、『ワンダフルライフ』が初期作品の中でもお気に入りです。DVDも全て所有していますが、近年に久しぶりに塚口サンサン劇場で『ワンダフルライフ』を観て、より一層に各シーンや台詞の意味を気づかされて、改めて素晴らしい作品であると気づかされた次第です…

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