キネ坊主の映画人生を紐解く⑧

関西の映画シーンを伝えるサイト「キネ坊主」を運営しているぐっちょんです。

現在の状況下ではありますが、昨日は久しぶりに更新できました。『精神0』の想田和弘監督にSkypeインタビューした内容を記事にしております。

昨日は、高校生時代に観た『ライフ・イズ・ビューティフル』について書きました。

今回は、大学生になって初めて観た映画について書いてみます。

それは、『EUREKA』(2001)

[過去の苦しみから抜け出せない人たちの、再生をかけた旅を描くドラマ。福岡県のある地方都市でバスジャック事件が起こり、生き残った運転手の沢井と、中学生の直樹と小学生の梢の兄妹は心に深い傷を負ってしまう。それから2年後、町に戻った沢井は、家庭が崩壊しふたりきりで暮らしていた兄妹と彼らの従兄の秋彦と一緒に奇妙な共同生活を始める。ところが時を同じくして、町では連続通り魔殺人事件が発生。疑いの目を向けられた沢井は、小さなバスを手に入れると、直樹たちと人生をやり直す旅に出るのだった。だが、彼らの行く先々で殺人事件が起こる。実は、直樹が殺人を犯していたのだ。それを知った沢井は、直樹に必ず迎えに来ると約束し、彼を警察に連れて行くと、直樹の気持ちに理解を示さない秋彦をバスから叩き出し、梢を連れて更なる旅を続けるのだった。そしてその旅の中、梢は笑顔を取り戻す。]

2000年に起きた西鉄バスジャック事件を想起させる内容であり、大学生になったばかりの私にとってはセンセーショナルな作品はどうしても観たくなって、三宮アサヒシネマに向かったのでした。

この作品は、217分、つまり3時間37分の長さがあり、通常鑑賞料金ではない特別な値段設定だったことを覚えています。当時の日本映画界でも話題になった作品だったのではないでしょうか。

基本的に全編がセピア色調のモノクロな画作りをしており、そのなかでロードムービー的な展開をしています。当時、本作を手掛けた青山真治監督がプロモーションでTV出演した際に「途中でトイレ等で止むを得ず席を外して戻ってきても大丈夫です。あまり変わってませんから」といったような発言をしていた気がします…

淡々としたシーンを繋いだ、まさにロードムービーではあるんですが、何故だか自然と見入ってしまう感覚だったことを思い出します。突然、事件に巻き込まれてしまった人達が、再び自らの人生をやり直すために、どこに向かっていきたいか。明確な羅針盤が示されるわけではないけど、最後は”光”が照らされたような気がしました…

そう、この作品で私は、宮崎あおい(公開当時の表記)さんを知りました。両親を失ってしまい、言葉も失ってしまった役であり、ほぼ台詞がない役を見事に演じ切っています。ラストシーンも含め、私にとっては大変に印象に残った女優であり、この作品以来、現在も一番好きな女優であります!

余談ですが、あまり関西での舞台挨拶等に登壇されない印象があったのですが、東京での『ペタル ダンス』公開時に初めて生の御姿を拝見し、とても可愛らしい素敵な方だなぁと当時の印象を思い出す次第です…


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