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【フランス】農家の怒りが燃える、デモの一日
0.農民のデモについて
フランス全土で農民がトラクターでデモを実行中。
EUや政府の政策などによりフランスの農家が窮地に陥り、法改正や援助金の増額などを求めているのだ。
アリエ県でも、若い農民団代から「県庁に集合せよ」とアナウンスが出された。
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「お昼付き」と書かれているのが微笑ましい。
前日、デモの代表者から県庁に確認電話があった。
通常デモは、農業組合主体で行われるため統率が取れている。
が、今回は若い農家が自主的に「県庁に集まれ!それでもだめなら、パリへ向かおう!」とデモを決定した。
旧来の農業組合がどこまで彼らの動きを抑え、穏便に済ませられるかわからないと言う。
農民たちの声が聞き届けられない状況が続き、怒りが大きくなっている。
さあ、どうなることやら。
1.その日の朝
わたしは1年少し前から、アリエ県庁内に住んでいる。
せっかくだから県庁側から、デモの一日を追ってみる。
朝。県庁前の市営駐車場からは車が撤去されている。ここにトラクターが集合予定。嵐の前の静けさだ。
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公園にも人は少ない。
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天気は晴れ。気温は10℃。今日は南フランスは20℃を超えるらしい。
警察の車が県庁に到着した。
今日は警察と消防、救急車が県庁内駐車場で待機する。
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ここで何が起こるのか。
テレビでは、農業連盟の代表が話している。
「わたし達の怒りは大きい。要求を聞き入れられるまでこのデモは続く。しかし破壊は目的としていない」と。
今日はまだ序の口ということがわかる。
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2.デモ隊到着
お昼前、トラクターが県庁前に集結。
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昼過ぎ、予定通り県知事が県庁内に代表を迎え、話し合いが行われる。
ここまで予定通り。
3.怒りを燃やせ!① 内部から見たデモ
話し合いが終わると、話し合いの内容に関わらず、せっかく集まっただけのことをしなければならない。
燃やす、燃やす、燃やす。
つまり、煙、けむり、けむり。
正面玄関前で藁束やタイヤなどを燃やし、農民たちがそれを取り囲む。
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燃やす、煙が上がる、おさまってくる、次のものを燃やす、の繰り返し。
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地元の人間同士だから、家族が中にいたりする。
あくまでも県庁に代表される国家権威への反発。
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煙の祭典は1時間ほど続いた。
県庁で働いている人たちも、心の中では農民たちを応援している。
一生の間に何度も行かないパリの、会うこともない大統領や首相や政府の役人より、農民たちの方がずっと近い存在だ。
「頑張ってるわねー」と仕事の手を休め上の階に上がって眺めている。
わたしもまざって見せてもらう。
4..怒りを燃やせ!② 外側から見たデモ
トラクターの大部分が次の地へ出発した頃、裏口から外に出てみた。
すぐに中に戻れる保証はないけれど、外からも見てみたい。
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近くで見るとものものしい。
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怒りは大きいが、理性はある。
今日は実力の一部を見せただけというところ。
目的は破壊ではなく、要求が通ることなのだ。
建物への直接の被害は、カラーペンキの落書きと生卵の黄色い跡だけ。
5.消火活動
見物の人も少なくなってきたところで、消化活動がはじまる。
デモ隊や火が盛り上がっている最中に消そうとすると、対立になりかねない。
紛争を避けるため、燃やさせるだけ燃やさせ、気が済んだであろう頃に、消防隊が消化活動を行う。
すべて予定通り。
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この日は、県庁内部や中庭も一部煙くさかった。
6.お片付け
夜、すっかり静かになった頃、再びシラノの散歩に外出する。
撤去作業中。
県庁は明日も県民のために開かれる。
この撤去作業まですべて予定通り。
みんなよくやりました!
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壁の卵あとはそのまま、正面に赤いスプレーで書かれた落書きも残されている。すぐに掃除しないのか聞いたら、来週もまたやるかもしれないから、終わりがわかるまではそのままにするのだと。
県庁職員たちの願いとしては、「ここでデモをしていてもどうしてあげようもないから、さっさとパリに行って抗議活動して欲しい」とのこと。
決定権はパリにありますからね。
国を支える農家を、国が支えるのは当然のこと。
彼らが望んでいるのは、破壊ではなく再建だ。
彼らの願いが敬意と共に聞き入れられることを多くの国民が願っている。
7.ではパリへ!?
政府から解決策は出されていない。
そんなわけで、トラクターの大群が高速道路を占拠し、パリへ向かうことになっている。
フランス革命も、全国から市民が集まり、パリまで行進した。
時代は変わっても、国の至るところから中心部に押し寄せるエネルギーは迫力がある。
パリ集結の前に政府は答えを出せるのか。
就任したばかりのアタル首相、手腕の見せ所ですね。
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