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フランスでうんざりすること

VACILANDO共同企画、「住んでいる国のうんざりすること」シリーズ
フランス編です。

子供の頃から、フランスに憧れていました。
夢がかなって、フランスに住むことになりました。
けれども、つくづく、ほとほと、うんざりすることもあるのです。

どんなことにうんざりするのか、一部を挙げてみました。

1.スト

ストはあちこちであります。
交通系のストは、うんざりの最たるものですね。
夏も、秋も、冬も、毎年毎年ストがあります。
スト中の労働者の給料は支払われないことになっているのですが、ストの終わりには「スト中の給料を支払う」ことを要求する追加ストが行われます。
2022年コロナの外出禁止令が明けた瞬間も、「さあ、自由になった。ストをしよう!」とばかりに始まりました。
スト中にバカンスに旅立つ職員もいるそうです。そんなに働きたくないなら、民営化したり他国の企業に運営してもらったらいいのに、とつい思ってしまいます。
ストのせいでバカンスに行けなくなってしまう人、バカンスから帰れなくなってしまう人もいて、旅行客もフランス人もうんざりしています。
交通系は遅延も間引きも普段からあり、「うんざりしたければ列車に乗れ」と言えるくらいたくさん問題があります。

2.行政のシステム

お役所仕事とは、決まったことを決まったようにしかやらない人情味に欠ける仕事のことだったと思いますが、日本では役所の方も最近は感じがよかったりします。フランスもそこまで感じが悪いというわけではないのですが、キャパがやたら小さいのです。
窓口の閉まる時間は、職員が仕事を終える時間のことだったりするので、窓口が開いてからたった15分で、その日の受付が終了ということもあります。

夫が公務員から民間企業に転職したことがあり、保険団体が変わるとかで6月に書類を送ったところ、返事が来ませんでした。「夏休みだから遅いのか」と思って待っていたら、9月になって「送り先が違う」とだけ書かれた返事が戻ってきました。
たったそれだけで3カ月! しかも調べ直したら送り先は間違っていなかったのです。
実際に保険証を手にできたのは、クリスマス直前でしたっけ。
「うんざりする」って言っていいレベルですよね。

3.移民問題の根深さ

フランスはヨーロッパ随一の移民大国です。さまざまな人種やいくつもの宗教があります。その中で、もともとフランス人ではない民族、宗教の力がやたら強いのです。
テロがあればイスラム系の人々を怖く感じますし、怪しい人ではないかつい目をやってしまい、同時に「彼はいい人で、わたしの今の視線に傷ついたかもしれない」などと差別する側になる危険も考えなくてはいけません。
移民による犯罪はどんどん増えているのに、移民の流入は止まりません。
治安はどんどん悪くなっています。老人や女性がターゲットになり、白昼強盗に入られることもあります。
それなのに、人道精神によってフランスは移民対策に関しては弱腰に感じます。
この国はどうなってしまうのだろうと、行き場のない不安を感じます。
この件のもう一つの問題は、表立ってはうんざりと言ってはいけないところにあります。人道精神にもとるからです。だからこそ心の中でしみじみうんざりするのです。

4.冬の朝

12月の朝8時。外は暗いです。
寒い。じめじめしている。雨も多い。霧も多い。
朝早く起きて、太陽を浴びようと思っても、早い時間に太陽はありません。真っ暗です。一日太陽を見ないことも多いです。
誰のせいでもないけれど、体にずしんどくるしんどさ、うんざり加減です。
毎年思うのですが、クリスマスがなかったらヨーロッパは暗黒地帯。キリストの誕生日はクリスマスではないそうですが、12月25日をキリストの誕生日にした先人の知恵に心から敬意を表したいです。キリスト教徒ではないけれど、キリストの生誕を祝いたいと思うのです。

5.それでもフランスが好き

うんざりすることがいっぱい。
困ったことに、それでもなぜか、フランスが好きです。
惚れた弱みというところでしょうか。ね。
歴史ある街のたたずまい、人々の自己主張の強さ、気概ある生き方。
味の強い野菜。夏の夜の長さ。ワインにシャンパーニュ。芸術。
女性が生きやすいところ。犬に親切なところ。

これからもきっと、うんざりしつつ一生フランスに住むことになるのではないかと予感しています。ときどき日本に帰ってほっとしながら、やっぱりフランスに戻ってしまうのではないか。そんな魅力がある国なのです。



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