流浪の月


自分のいる世界が綺麗だと疑わない人が苦手だ。

帰る場所があたたかいと信じている人が苦手だ。

親は子どもを愛するものだと思い込んでいる人が苦手だ。





その人にどんな背景があるのかも想像せずに、表面だけを見て自分の見たことのあるものに当てはめて決めつける。
そんな人ばかりの昨今。

綺麗なものばかりが祭り上げられ、綺麗に見えないものは可哀想だと上から哀れまれる。

そんな世界に生きづらさを抱えている人はきっとたくさんいるけれど、みんな隠すのが上手だ。

余計なことを言われるから、わかってくれる人なんていないから、そうやって自分を偽ることに慣れていって表に出さないことでまた綺麗なものに覆われていく。

簡単に見える範囲には綺麗な世界が広がっていて、綺麗でないと判断されれば蔑まれ排除される。

その綺麗は誰が決めたものだろう。マジョリティこそが善なのか。そこに至る過程は?感情は?知っている人はどれだけいるだろう。




運命の出会いを見て見ぬふりをすることもできるけど、それは心を殺すことだ。

鈍感になれば信じられる幸せも、1度その違和感に気づいてしまったら戻れない。

他人の決めた幸せは他人から見た幸せであって自分のものじゃない。


私は私だけのもの。その純真は誰が殺した?






なんてことを考えながら観ていました。

日頃自分はどれだけの想像力を持って物事を見れているのか。

決めつけで人を傷つけていやしないか。

本当に多角的に見れているのか。

そんなことを考えさせられる作品でした。



この作品は有名キャストを揃え、バラエティ番組で番宣までしています。

広く知られることがリスクになりうる今の社会で、この作品を広く届けようとすることは挑戦的だと思います。

でも、こういうテイストの作品を観てこなかった人の中にも、いろんなことを感じてくれる人がいるはずだから。


どうかこの作品が、気持ち悪いとか怖いなどという安直な言葉で語られることがありませんように。
そう祈るばかりです。


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