xxxHOLiC

生きるの下手くそな自分も愛してる。しえるです。

公開初日にxxxHOLiCを観てきたのでその話をします。
舞台挨拶ライビュつき1回と通常回1回観てきました。





自己犠牲の上に成り立つ平和は幸福と言えるのか。


期待通りの美しいビジュアルもとても良かったのですが、込められたメッセージ性の強さに驚きました。
これを観終えた時、綺麗とかかっこいいとかしか出てこないような死んだ感受性で生きていたくない。それこそ思考停止だ、と思いました。


美しいものを描き、撮る人がこの世で生き続けることを選び、他人に生きて欲しいと願うことは奇跡だと思います。
美しいものを描く人は、この世の無情さや絶望も敏感に受け取ってしまうから。辛いことにも鈍感になれず、傷ついてしまう人が多いように感じます。

そんな中で圧倒的美を描くことと、生きること自分を愛することへの願いが共存しているこの作品は貴重で尊いものです。

他人を大切に、というよりも大切な人がいるなら自分を大切に、という視点なのも良かったです。
現代人に必要なことだと思います。

メッセージが押しつけではなく、主人公が自分で見つけていくので受け手にも届きやすいんじゃないかと思います。



ひまわりちゃんの「私にできるのは私が私を愛してあげること」という台詞があります。
こんな不幸を背負った自分だけどせめて自分だけは愛する。自分と向き合ってきたからこそたどり着ける言葉だと思います。

自分を愛せれば他人だって愛せるし、その逆もまた然りです。
自分だって他人だって、その人だけのものではないと気づくことができれば、自ずとどちらも愛せるはずです。



印象的だったのは四月一日が1人でご飯を食べるシーンです。

当初は「食べるのは苦手だ」と言いミセでも作るだけで自分は食べていなかったのに、次第に一緒に食卓を囲むようになり、1人になった時でも1人で食事をしていました。


食べることは生きることです。
そして、自分を労り愛することです。
食事という行為には生きる意思や自分を大切に思う気持ちが込められていると思います。


大々的に描かれているわけではないけれど、人との関わりの中で自分を大切に思ってくれる人がいること、自分を愛することは自分だけのためでなく周りのためにもなること、を次第に分かっていった様子が現れているいい描写だなと思いました。




大切な人がどこかで生きていてくれればそれだけで救われる。
だから自分だって生きていよう。
そう思わせてくれる作品でした。








雑多感想↓

女優陣の声色の変化が素晴らしくて何度か鳥肌立ちました。
ひまわりちゃんの自分語りのところが特に凄かったです。狂気を感じました。

声は低いし言葉数も少ないけれど、行動から優しさが滲み出ている百目鬼くん最高でした。

ミセの人たち(人?)は衣装がころころ変わるし、どれもキラッキラなので観ていて楽しかったです。(縷縷夢兎っぽいなと思ったのがあったんですけど、エンドロールに出てこなかったので違うのかな。)
小物も美しくて隅々まで観たくて視界足りなかったです。

主題歌も良かった…!勝手に最近のセカオワ(眠り姫以降)は毒気のある曲は作らないんだと思ってました。(表題曲だけの知識ですファンの方ごめんなさい)









舞台挨拶部分だけ観て出て行った人がそこそこいて悲しかったな…。
芸術は受け手に受け取る気がなければ芸術になれないから…。
(小言)

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