見出し画像

バリューグラフによるアイデア創成

何か新しいことを考えようとしたとき、考えるきっかけが必要です。

このきっかけとしては、多くのことが考えられますが、今ある何かを起点とすることが多いと思います。

一番多いのは、今、課題があって、それを解決する新しいことを考えること。しかし、多くのケースでは、自分が気づいている課題には、他の多くの人も気づいています。

そのため、わかっている課題に対しては、多くの場合、すでに他の人がアイデアを考えています。

なので、“わかっていない課題”に気付き、その課題に対してアイデアを考えることが必要です。

このための方法にはいくつものやり方があると思いますが、ここではバリューグラフという方法を紹介します。

バリューグラフとは、スタンフォード大学の故石井教授が考案した方法です。ものづくりのプロセスでのバリューグラフの使い方については、下記書籍が参考になります。

石井先生の書籍では、ある製品を起点として、その製品が持つ価値を「Why」を繰り返すことで認識し、これまで見落としていた価値に気づき、それを新たな製品開発につなげる、という流れで記載されています。

バリューグラフの例を下図に示します。ここでは、テレビを例にしてバリューグラフを簡単に作成しました。

起点となるテレビを最下段に置きます。次に、「なぜテレビを使うのか?」のように、Whyの問いかけでさかのぼります。

テレビを使う理由として、
「ニュースを見るため」「天気予報を見るため」「映画を見るため」などがあげられます。それぞれの項目に対して、再度Whyを繰り返します。例えば、「なぜニュースを見るのか?」という問いに対しては、「上司との会話のため」「恋人との会話のため」などがあげられます。これらに対して再度Whyを繰り返していきます。このようにすると、「お金」「モテたい」などの欲求に繋がり、最終的には「幸せ」に至ります。

このようなバリューグラフは何に使えるかというと、直接的には既存の製品の潜在的な価値の発見が可能です。例えば、テレビの場合、知的好奇心などの潜在的ニーズもあることがわかります。そのようなこれまで見落としていたニーズに気づいたら、そこから再度下に戻ります。
下に降りるときは、"how"でおりていきます。知的好奇心に対し、勉強したい、というニーズがあると考えられますので、このニーズを満足する機能をテレビに追加したらどうだろう?と考えることができます。その結果、授業のオンライン化におけるテレビの使用などのニーズに気づきます。すると、オンライン授業に向けたスマホとテレビを簡単に接続するセット(スマホを画面に映す装置+テレビに取り付けるスマホスタンド+手元での会話用ブルートゥーススピーカー)などのアイデアが生まれます。

バリューグラフでやっていることは、抽象化と具体化です。whyで抽象化し、howで具体化する。アイデアを考えるときには、このような抽象化と具体化を自然と思考しているのですが、それを可視化することでシステマティックにアイデアを検討することができます。

バリューグラフを組み合わせることでさらに強力なアイデア発想に繋がるモホロジカルアナリシスについて、下記に記載しました。こちらもぜひ読んでみてみてください。

※2022年6月5日追記
ワークショップ用に説明動画を作成しましたので下記もご参考下さい。

バリューグラフを作成する様子をレコーディングしました。どんな感じで作られるのかが気になる方は下記も参考にして下さい

①エアコン

②ビアガーデン

③オンラインチケット

④コールセンタ

⑤セントラルキッチン


また、新たにバリューグラフに関するマガジンを始めました。
作って欲しいバリューグラフのリクエストかあれば、ぜひコメント下さい!


※この記事の表紙画像はまつなが ひでとしさんによる写真ACからの写真を使用しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?