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研究と成果

私は企業で研究をしています。

あたりまえのことですが、研究には多少なりともお金がかかります。そのお金を使い、文献を入手したり、実験をしたり、考えたりして、成果を出します。

下の図に、研究活動に関するインプットとアウトプットの関係を示します。

インプットがあり、アウトプットもあるのが、多くの研究者です。

このときのインプットは、事業収益だったり、ファンドや国からの資金提供だったりします。お金を得る代わりに、成果を返す必要があります。(返す成果は、当初の想定と異なるものとなることもあります) つまり、ギブ&テイクの関係です。

インプットがあるけどアウトプットがないものは、寄付です。こちらは、研究成果のアウトプットは求められませんが、研究者との関係を築くことができます。つまり、出資者にとっては、成果ではなく、信頼や恩義といった感情の対価が得られるわけです。

インプットはないけどアウトプットはあるものとして、最近のOSSなどのソフト系の研究があると思います。このときのインプットは、自分の手持ち資金となります。学会活動なども、本来はこの領域。社会貢献がメインと言えると思いますが、同時に地位や名声なども得られるというメリットがあります。もしくは、別の何かで大きな資金を得た個人が、それを元手に研究を行うことで社会に恩返しをしよう、というものもあります。ノーベル賞受賞者などが賞金で基金をつくるのはこのような目的ですね。

インプットもアウトプットもないものは、趣味です。これは、自身の知的好奇心を満たすためのものです。

どの組み合わせが研究者にとって幸せか、となると、これは人それぞれだと思います。資金はもらって成果は求められない右上がいい、と考える人もいると思いますが、研究者をやっている人は知的好奇心とともに自己顕示や承認欲求も強いと私は思うので、良い成果は世に出したがると思います。その場合は、アウトプットがある側になります。

アウトプットがある、ということは、研究成果が研究者以外の人に知られる状態ということ。この状態は、論文という形はもちろん、特許や製品、政策などで世に出ることもあります。

もちろん論文は、研究者を評価するもっとも重要でわかりやすい指標です。ですが、成果は論文だけではありません。

研究者も周囲も、その研究がどのように成果となったか、を広い視点でとらえることで、成果のアピールや、優秀な研究者の発見につながり、良いギブ&テイクの関係が築かれるのではないかと思います。

※この記事の表紙画像はまつなが ひでとしさんによる写真ACからの写真を使用しています

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