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映画 【燃ゆる女の肖像】(2019)


個人的感想:★★★★★


あらすじ:

18世紀後半のフランス、女性画家のマリアンヌは女性たちにデッサンを教えていた。アトリエの奥から生徒が持ち出してきた自分の古い油彩画を、マリアンヌは『燃ゆる女の肖像 (Portrait de la jeune fille en feu)』と呼び、その絵にまつわる想い出を回想する。
1770年、マリアンヌはある伯爵令嬢の肖像画を依頼されてブルターニュの外れにある孤島の屋敷を訪れた。その令嬢エロイーズは、自殺した姉の代わりにミラノの貴族に嫁ぐため、それまで暮らしていた修道院から戻ってきたのだという。肖像画は結婚相手に贈るためのものだが、結婚を望まないエロイーズは以前来ていた男性画家には顔を描かせなかったため、マリアンヌは、画家であることを隠し、散歩相手として身近に接することで肖像画を描き上げるよう、エロイーズの母である伯爵夫人に依頼される。依頼通りに散歩に付き添い始めたマリアンヌは、かたくなな態度を取りながらも自由を求める心を秘めたエロイーズに次第に惹かれていく。
肖像画を完成させたマリアンヌは、罪悪感に耐えかねて自分が島にやってきた本当の理由をエロイーズに明かす。完成した絵を見たエロイーズは、自分の本質を捉えていないとその絵を否定し、マリアンヌは感情的に絵をつぶしてしまう。描き直そうとするマリアンヌに、エロイーズは正式にモデルとしてポーズを取ることを承諾する。完成までの5日間の期限のあいだ、伯爵夫人が不在の屋敷でマリアンヌとエロイーズの心は近づき始め、女中のソフィも加わって、オルフェウスが冥府から妻エウリュディケーを連れ戻す途中で振り返った理由について意見を交わしたり、トランプに興じたり、妊娠していたソフィの堕胎にマリアンヌとエロイーズが付き添ったりと、立場や身分を超えた3人の親密な時間が流れていく。その一方、マリアンヌは純白のローブ姿でたたずむエロイーズの幻影を見るようになる。
ある夜、夜祭で、島の女性たちの歌[注釈 1]に心を奪われたエロイーズのドレスの裾に、情熱の高まりを具現化したかのように焚き火の炎が燃え移る。翌日、マリアンヌとエロイーズは海辺の洞窟で初めてのキスを交わし、一夜を共にする。期限を前にして強く結ばれていく2人だったが、肖像画の完成は、マリアンヌが島を去ること、そしてエロイーズの結婚を意味していた。島を出る前日、マリアンヌはエロイーズの姿を小さなスケッチに描きとどめ、エロイーズに乞われて彼女の愛読書の28ページ目に自画像を描く。翌朝、思いを振り切るように屋敷を出て行こうとするマリアンヌの背中に、エロイーズが「振り返って」と声をかける。そこにはマリアンヌが見ていた幻影そのままの白いローブ姿のエロイーズが立っていた。
舞台は冒頭の時代に戻り、マリアンヌは、島での別れの後、2度だけエロイーズと再会したことを回想する。最初の再会は美術展、母として子供を傍らにした肖像画のエロイーズの視線がマリアンヌを捉える。絵の中のエロイーズは、マリアンヌが自画像を描いた本の28ページ目に指を挟んでいた。2度目であり最後となった再会はコンサートホール、マリアンヌの向かいのバルコニー席に偶然エロイーズが座る。エロイーズはマリアンヌには目を向けず、オーケストラが壮麗に演奏するヴィヴァルディの『四季』の『夏』を、平静ではいられない様子で聴き入る。それは、かつてあの屋敷のチェンバロでマリアンヌがエロイーズに弾いてきかせた曲だった。慟哭して涙を流すエロイーズの横顔を、マリアンヌはただ見つめるのだった。

引用元:Wikipedia『燃ゆる女の肖像(映画)』

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