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勘と感情の狭間に溺れてる

 友達に「お誕生日おめでと」ってメッセージを送った。
〈いいじゃん〉
 大切な友達だから、送りたくて送ってる。
 それでも、色々考えちゃうよね。


シャル
主人公
〈ロミルダ〉
妖精ちゃん


 正直、その友達とは誕生日と年賀状ぐらいでしか連絡を取ってない。
〈それは……友達なのかな?〉
 少なくとも僕はそう思ってる。たとえ相手がそう思っていないとしても。
 それに、どちらにも律儀に返事をしてくれるんだ。
〈それは嬉しいわね〉
 うん。うれしい。

 ただ……相手にとって、重荷になっていないだろうかって不安になる。
〈そうなの?〉
 うん。

 僕は、「自分だったらどうか」って視点でよく考える。
 顰蹙を買う覚悟で、ぶっちゃけて言っちゃうと、僕は、僕にとって興味がない人からメッセージがやってくると、すごく困る。
〈そこまで顰蹙を買うような内容じゃないと思うけど……それが?〉
 僕からのメッセージにはちゃんと返事をしてくれるけど、向こうからメッセージが来たことはない。
〈あー……なるほど。だから、相手は義理で答えてくれてるだけで、本当はうっとうしいと思われてるんじゃないかって心配なのね〉
 そういうこと。

 だから、誕生日と新年の挨拶しかメッセージを送れない。
〈なにか理由がないと送れないのね〉
 うん。

 あと、ちょっと気を使ってる。
〈どんな風に?〉
 久々の連絡なんだから、もっと話していたいけど、なるべくその日のうちにメッセージを切り上げるようにしてる。
 どこで切り上げればいいかわからないメッセージってきついじゃん。
 だからちゃんとこちらから切り上げるようにしてる。

 でも、やっぱりちょっとさみしいよね…。

〈……シャルがさみしがり屋なのは知ってる。だから数少ない友達ともっと会話したいって思うのも自然だと思う〉
〈でも、「これ以上会話しても迷惑なんじゃ…」って思ってるから、これ以上連絡できない〉
〈でもやっぱりさみしい。だからつらい。そうでしょ?〉
 うん。

〈普通なら、ここで、「もっと素直になって、連絡してみたらいいじゃない」とか言われそうね〉
 僕もいまそれを思った。
〈でも、それで連絡ができたら苦労はしない〉
 うん。
〈それに、本当に迷惑になる可能性だってある〉
 ……うん。

〈だからさ……もっと他にも甘えられる場所や人を作ったらいいんじゃないかな?〉
 ……え?
〈君の勘は鋭い。私はそう思ってる。だから、君が今はこれまで以上に連絡をしないほうがいいと思うなら、きっとそれは正しいんじゃないかな〉
〈でもそれだと君はさみしいまま〉
〈だから、その友達以外にも頼れる場所や人を見つけたらいいと思う〉

〈むしろ、そうしないと、いずれさみしさに狂った君が、暴走して依存して……〉
 また、失敗して?
〈そういうこと〉

〈君は、いま、君の勘と感情の狭間に溺れてるわけ〉
 で、勘を信じてみよう、と。
 ……でも、ただただ自信がないだけで、本当はもっと連絡をとってもいい可能性は…。
〈あるわ。むしろ、今の君は極度の自尊心喪失状態なんだから、その可能性の方が高いかもしれない〉
 そっか…。
〈でも、そんな状態で、勘を無視して連絡しても、きっとうまくいかないと思う〉
 ……なんで?
〈たぶん……卑屈になりすぎちゃいそう〉
 あー……そうかも…。

〈だから、勘を信じて、今のままを維持〉
〈無理してまで連絡しようとしなくていい〉
〈でも、さみしいのはさみしいだろうから、他に頼れる場所や人を探す〉
〈そのうち元気が出たら、友達にも元気よく連絡すればいいと思うわ〉


 今回はこのぐらいで。
〈話変わるけど、ここ数日、特に元気ないわよね〉
 そうだねぇ……先日の反動か、あるいは連日の猛暑にとうとう身体が音を上げたか……。
 こんなとき、どうすれば元気になれるのか、まだよくわかってない。
〈だから、さみしさもより強く感じちゃうのよ〉
 で、今日みたいな悩みが生まれると。
〈そういうこと〉

〈だから、ほら。これで今回のテキストも終わりなんだから、今日は気持ち良くゆっくりしましょ?〉
 ……そうだね。

 それでは、またあした。
〈ばいばい!!〉

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