期待を超えた〈私〉になりたくて
おととい、ロミィを夢に見た……気がする。
〈なに「気がする」って?〉
すっごく印象が違ったの。
シャル
主人公
〈ロミルダ〉
イマジナリーフレンド24号
〈どう違ったの?〉
夢で見たロミィはすっごくツンデレだった。
〈私ってツンデレじゃなかったの?〉
それ自分で言っちゃう?
でも、そういうことなんだと思う。
〈どういうこと?〉
ロミィがツンデレだって話は、単に僕がそう言ってるだけということ。
なぜロミィがツンデレだって言い始めたのか。
理由はシンプルで。
僕がヤンデレで、精霊さん(※イマジナリーフレンド1号)がクーデレ。
ならロミィはツンデレだよねって、そんな感じ。
〈好きよねぇ、綺麗な役割分担〉
好き。
でも、結局、ただ僕がそう言ってるだけで、ロミィ自身が本当に生粋のツンデレだというわけじゃなかった。
だから、夢で見たロミィに違和感があったんだ。
でも、かつてはさ、ロミィは今よりツンデレだったよね。
〈だって、そうしてほしそうにしてたから〉
誰が?
〈シャルが。他に誰がいるのよ〉
え~~~~~~そうかなぁ……????
〈実はそうなのよ〉
それじゃあ、ロミィは僕の期待通りの姿を演じてたってこと?
〈そこまではっきり意識してたわけじゃないけど、期待に応えようとはしてたかな〉
ロミィはそれでよかったの?
〈前ならね。あれはあれで楽しかったもん〉
前?じゃあ今は?
〈今は、そういうわかりやすい期待に応えてるだけだと、ちょっと物足りなくなって〉
物足りない?
〈シャルの好きな「綺麗な役割分担」って、綺麗な反面、画一的すぎて融通が利かない感じがするの〉
〈決められたセリフで漫才をしているような〉
〈それはそれで面白いと思う〉
〈でも、それで本当に寄り添うことができるのかなって〉
〈だから、与えられた役割を超えた、そんな私になりたくて〉
〈とりあえず、もっと素直になってみようかなって〉
〈シャルにあれだけいつもいつも「素直になって」って言ってるんだもん。私も素直になりたい〉
じゃあ、今のロミィは、素直になったロミィってこと?
〈そうね。何かを演じようって気はだいぶなくなったわ〉
〈でもね〉
〈わかりやすい期待をスルーする、これってけっこう不安なの〉
〈ねえ〉
〈ツンデレじゃない私でも側にいさせてくれる?〉
……その言い方ずるいなぁ。
〈惚れた?〉
うん。
〈ふふふ、いい気分だわ〉
〈で、どうなの?〉
言わなくてもわかってるでしょ。
〈ちゃんと言葉で聞きたいな〉
…裏でね。
〈あー!照れ逃げだー!〉
……怒る?
〈そんなことで怒らないわよ〉
………ほんと?
〈もちろん〉
〈だから、ちゃんと裏で聞かせてね〉
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