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外国人就労、在留期間なぜ「無期限」に?

はじめに

 在留資格「特定技能」について、出入国在留管理庁が事実上、在留期限をなくす方向で調整していることが明らかになった。

 長期就労や家族帯同が認められる「2号」の対象を今の2分野から13分野に拡大する見通しだ。

 なぜ拡充するのか。どんな課題があるのか。

 3つのポイントから読み解く。

・特定技能って何?
・なぜ拡充するの?
・今後の課題は?

(1)特定技能って何?

 出入国管理法改正で2019年に導入された特定技能は、技能試験や日本語試験の合格を条件に、人手不足が深刻な業種14分野での就労を認める。

 入管庁によると、8月末時点で約3万5千人が働いており、飲食料品製造業が約1万2千人で最多となっている。

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 全体の約8割は、日本で学んだ技能や技術を本国の経済発展に生かす目的で設けられた技能実習からの移行組が占める。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて帰国が困難になった人が、実習終了後も日本に残るケースが多い。

(2)なぜ拡充するの?

 これまで政府は「移民政策は取らない」との方針を示してきた。

 永住や家族帯同の道につながる特定技能は当初、「外国人受け入れ政策の転換」とも受け止められた。

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 しかし、14分野のうち12分野は最長5年の1号に限定。

 長期就労できる2号の対象となったのは、建設など2分野だけだった。

 入管庁は5年間で最大34万5千人の受け入れを想定していたが、コロナの影響もあって大きく下回っている。

 かねて各業界には海外人材の安定的な確保が見込める2号の対象分野拡大を求める声が強く、入管庁などは受け入れ業種を増やして外国人の呼び込みを図る。

 1号の対象となっている介護は既に介護福祉士の資格を取って長期就労できる制度が整っており、2号には加えない方針だ。

(3)今後の課題は?

 特定技能の資格で働く人が増えるにつれ、支援団体には賃金や解雇を巡るトラブルの相談が増えている。

 技能実習の場合は、受け入れ窓口である「監理団体」が実習状況を確認したり、第三者機関の「外国人技能実習機構」が監理団体などを実地検査するといった仕組みがあるが、特定技能は企業から委託を受けた「登録支援機関」が支援するのみ。

 「技能実習機構のような企業から独立した相談体制が必要」との声も出ている。

 帯同が認められる家族への支援も欠かせない。

 文部科学省の18年度の調査では、日本語指導が必要な児童生徒は約5万1千人いるが、授業で日本語を学んでいるのは約半数。

 高校進学率は42%で、全体の割合(71%)を大きく下回っている。



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