祖母の時間
この正月、祖母に会った。
4年前に祖父が亡くなってから、沢山会おうと決めていたけれど、3年近く会えていなかった。
縮んだ背。
薄くなった髪。
増えてきた物忘れ。
ほとんど見えなくなった片目。
歳を取ったのだなとは思うけれど、それだけだった。
ぼくの物心がついた時には、とっくに70を超えていたから。
埃の溜まった部屋。
手入れされていない水回り。
作って鍋に入れたままの煮物。
モノを詰めるだけ詰めた冷蔵庫。
何かに頭を殴られたような気がした。
あんなにマメだった祖母が。
ぼくの物心がついてから20余年。会えなかった3年。
"老い"のリアル。
きっと誰もが通る道。
頭ではわかっていても、困惑と戸惑いが幾重にも訪れる。
そして、その時も近いのだと、そう思った。
共有するはずだった時間。
語られるはずだった言葉。
失ってしまう。
会わなければ会わなかっただけ。
時間は有限だから。
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