コラム②「タイムマシンがあれば。」
2017年10月21日(土)
八重山日報・沖縄本島版
ちゅうざんの車窓から No.2
「タイムマシンがあれば。」
「タイムマシンにお願い」という楽曲が世に出たのは1974年。国内外で注目を集めていたサディスティック・ミカ・バンドよりリリースされました。1986年生まれの私がこの曲を初めて耳にしたのは中学生の頃。夜な夜な片想いの女の子について考えたり、将来について思いふける多感な14歳の私は、深夜のラジオから流れてきた「タイムマシンにお願い!」と叫ぶ印象的なフレーズに一発で心惹かれたのです。当時、朝起きられずに遅刻ばかりしていたのは、退屈な日常を忘れさせてくれる深夜のラジオとミュージシャンたちのせいだったということにしておきましょう。
ところで、本当にタイムマシンが存在するなら皆さんはどの時代に行きたいですか?紀元前?戦国時代?それとも100年後の未来でしょうか。中学生の私なら「大人になった自分に会いたい」と答えたでしょう。なかなか現実的な考えですが(笑)。当時、毎晩夢中でラジオを聞いては、自分も将来、多くの人に言葉や文章、音楽を届けたいと考えていました。その夢が叶っているか確かめたかったのです。
そんな夢見る少年だった私ですが、今年の夏、とある撮影で沖縄に帰省した際、知人を介してラジオ番組に出演することになりました。その番組にゲストで出演していたのが、八重山日報・仲新城編集長だったのです。その出会いをきっかけに私はこのコラムを書くことに。巡り合わせというものは不思議なものですが、願い続けていれば、形やタイミングを変えて現実になることもあるんですね。
時間を巻き戻したり未来を覗き見るなど、映画のようなことは現実には起こりません。しかし、日常の中にある何気ない出会いや小さなきっかけを大切にしていれば、思いもよらないことが起こり得る。最近はそんなことを考えたりもしています。「人生は時々、ドラマよりドラマティック」そう思えたなら、何気ない日常がおもしろくなるような気がしませんか?もし、タイムマシンがあれば。14歳の自分にそう伝えたいと思うのです。
ちゅうざん(俳優・シンガーソングライター)
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