持続化給付金委託問題は令和のリクルート事件か

〇問題だらけの安倍政権のコロナ感染対策ですが、また1つ「持続化給付金委託問題」というのが飛び出しました。1次補正予算に計上された持続化給付金は、売り上げが半減した中小企業に最大200万円を支払うものです。所管する経済産業省は振り込みなどの事務を一括外注しました。

〇業務を769億円で契約した一般社団法人サービスデザイン推進協議会は、業務を執行する理事8人全員が非常勤で、巨額の業務を引き受ける組織ではありません。案の定、契約額から20億円を抜いて、749億円で、広告大手の電通に再委託していました。何のために、トンネル組織を通じて契約するのか!! さらに電通は関連子会社等に委託された業務を外注。うーん、なんということか。

〇動く金が巨額で、しかもその巨額の金が委託、外注を繰り返して動く理由がわからない。巨額の金はもともと税金で、汚職事件の臭いがしますが、刑法に触れる汚職なのかどうかわからない。この大きな問題がありそうで、訳の分からない感じは、30年前のリクルート事件そっくりです。

〇1988年(昭和63年)に発覚したリクルート事件は、リクルートの子会社のリクルートコスモス社の未公開株が、上場前に政治家や官僚に賄賂として譲渡された、戦後日本でも最大級の贈収賄事件です。最大級と書きましたが、ともかく当時の江副浩正リクルート社会長が、未公開株を政官財の有力者に配った範囲が滅茶苦茶に広い。そのため、未公開株を配った目的(ワイロの趣旨)がぼけてしまっている、と言われました。更に未公開株は値下がりすることもあるので、賄賂と決めつけにくい、という従来からの考えもあり、事件になりにくいのではと言われました。事実、リクルート社の未公開株譲渡が最初に報じられた(1988年6月、朝日新聞)川崎市の事件では、結果的に川崎市の幹部が1億2000万円の利益を得たのに、神奈川県警、横浜地検とも「事件にならぬ」として、手を出していませんでした。

〇しかし検察当局が、ロッキード事件捜査の主任検事で、当時最高検公判部長をしていた吉永佑介氏を、わざわざ東京地検検事正に異動させて現場に投入。結果は当時の竹下総理大臣を辞任に追い込み、前政権の官房長官だった藤波考生氏やNTTの真藤社長らを立件しました。

〇さて私は、今度の持続化給付金委託問題が、必ず汚職事件になると言っているわけではありません。そういうことを言うには、まだ証拠が不足です。しかし、国民の疑惑は晴らさなければなりません。経済産業省自体、2020年6月8日、この委託問題でお金の使い方に問題がないか、外部の専門家を入れて検査するとしました。

〇経済産業省が問題ありと認めたことは、一歩前進です。しかしこれについては検査に名を借りて、問題を先延ばしにするものだという指摘もあります。そこで私はこの問題こそ、検察に捜査してほしいと思います。広島選挙区選出の河井案里参議院議員の選挙違反事件も大体勝負がついたことだし、国民のために力を発揮してほしいと思います。

〇今度の事件とリクルート事件が似ている、と言いましたが、全く違う点もあります。リクルート事件は、曲がりなりにも民間の企業がお金を工面して(あぶく銭めいていますが)賄賂を贈ったのに対し、今度の事件は動くお金のもとは税金──国民の金です。ですから、ことは今度の問題の方が重大と言えます。検察に本気になって捜査してほしいと、心から思います。

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