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人斬り?
斬って斬ってまた斬って。
いつ終わるともしれぬ繰り返しに、私は辟易としていた。
一体どれだけ切れば、終わるのか。そもそも終わりなどあるのか?
この、戦いが始まったのは、いつからだっただろうか……?
あの日、あいつ。突如現れた。穏やかな昼下がり、私は一人の白装束を着た男を発見した。私は一気に彼との間合いをつめ、直ちにそいつを切り倒した。だってここは────私たちの領域なのだから。
それで事が片付いた。そう思っていた。
ところが……その日を境に、白装束を着た奴らの目撃情報が数多く報告されるようになった。話を統合すると、なんと彼らは徐々にその勢力を増しているようだった。
私たちは頭をかかえた。私たちの組織、通称「クロ」はこの世界で唯一無二。世界は「クロ」一色で、この先もずっと私たちの繁栄が続いていくはずだった。それなのに、そこに「シロ」が現れたのだ。
彼らの目的は一体何なのか? それが全くわからなかった。
ただ、彼らが私たちを脅かす存在であることは間違いなかった。
一説には、私たちの中から裏切り者が現れ、そいつが白装束を着るようになったのでは? と言われた。私はそれを笑い飛ばした。そんなことがあるわけがないだろう。
私たちは、囲碁かオセロでもするように、互いに自分の勢力を拡大しようと争いあった。私たちは決して負けるわけにはいかなかった。
私は今日も仲間をかき分けて、彼らに向かっていく。
この位置、ここだ!!
私の刀が彼らシロを仏さんに変えていく。
倒れた相手に対して、私は手を合わせて祈る。すまない。切らないわけにはいかなかった。クロに栄光あれ。
「ちょっといい?」
「えっ」
「父さん、さっきから鏡に向かってぶつぶつ、大丈夫?」
鏡に向かう私に、息子が背後から声をかける。
「……ああ。新しい時代を切り開くために刀をね」
「〝刀〟って、それ眉ぎりバサミだよね?」
「Yes that's correct.」
「白髪切ってんの?」
「そうそう、抜くと逆に増えちゃうらしいからね。」
「ふ〜ん。終わったらちゃんと、洗面所掃除しとくんだよ。母さんに怒れるよ」
「……そうだね。気をつけるよ」
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