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キャッシュレス時代の現金主義化

~福島民報新聞 みんなのひろばに投稿された「キャッシュレスお金もたず便利」という高校生の方の記事を読んで~

多くのキャッシュレスツールが出回ったとき、ありとあらゆる企業の決済サービスに手を出した。
ペイペイ、LINEペイ、au PAY、楽天ペイ、クイックペイ、ななこ、メルペイ、Suica、ID、WAON・・・
また、新規入会時にもらえるポイントや、キャッシュレスに紐づけると便利なことから、それぞれの決済サービスに合わせたクレジットカードを複数作った。一番多く持っているときは約5枚くらい。 
お店により使えるサービスが変わる。当時の自分は何がなんでもキャッシュレス。ピピっとiPhoneで買い物ができることに快感を覚えていた。  
それによって起きたことは、自分の財産がいくらなのか、支払いをどのくらいしたのかがわからなくなっていった。 

社会人になって間も無くして、好きで家計簿を作り始めた。スプレットシートで自分なりの表を作った。自分の財産を管理すること、もらった給料を何にどのくらい使ったのかを把握するのが楽しかった。少しずつ貯まっていく金額を見るのが楽しかった。 
初めてのクレジットカードは、地方銀行のキャッシュカードが一体となったもの。銀行窓口で勧められて作った。その時はあまりカードについては知らなかった。
悪いところは支払いが後日になること。 これにより、管理が難しくなった。 実際には金額がまだ出ていってないが、自分の家計簿上は出ていったことにする。 実際のお金と金額が違くなってしまった。 でもこの時点ではなんとか管理出来ていたと思う。 

間も無くして、各種企業の決済サービス競争が始まった。 新規入会時にもらえるポイントや割引に乗せられて、あらゆるサービスを始めた。 
この時に合わせて入会したクレジットカードで過ちを犯した。 
「リボ払いにすれば+2000ポイント」これに乗せられて安易にリボ払いを始めた。 特にリボ払いについて調べもせず、1年間そのカードを使用していた。 
家計簿上はちゃんと支払いを記帳していたが、実際の銀行口座のお金がかなり多かった。多い分にはいいかなと、少しの疑問をそのままにした。

婚約指輪を購入する決心をした時、出したカードが上限を超えているとして使えなかった。 
悪い予感がして急いで調べた。あまり見ていなかったネットのカード利用明細。
手数料がみるみると膨れ上がっていた。支払った手数料が合計で8万円。 無意識のうちに積み重ねていた借金にたいしての利息だった。

すぐに全額を支払った。家計簿をつけていたので、借金の分のお金が口座に余っていたから、借金地獄にならず九死に一生を得た。  
気を引き締めてキャッシュレスと向き合うことを心に決めた。 
クレジットカードを使うことは躊躇するようになった。 でも、各種決済サービスはやはり便利だからと使い続けた。 
今考えれば、決済サービスも出どころは口座やクレジットカードから。
自分のiPhoneが、無限の泉になっていた。 幾度となく流れ出ていく財産。

ある時、本を読んだ。 こんまりさんの片付けの魔法の本。 
身の回りをときめくものだけにした。 
片付け中に手に取った何枚かのクレジットカード。ときめきは感じなかった。 
自分のお金との付き合い方を改めるきっかけとなった。 
支払い環境を整理することにした。 あらゆるキャッシュレスをやめた。 クレジットカードはほぼ解約した。 
手元に残ったのは現金と、iPhoneに入った Suica。 
これからは、手元にあるだけの現金を使おうと心に決めた。
今までの考え方がひっくり返る体験だった。 

でも、キャッシュレスの利点はある。レジで後ろの人を待たせない。 衛生的。 ポイントが少しばかり貯まる。  要は、キャッシュレスを使いこなすこと。

キャッシュレスと上手に付き合うため、半現金主義になった。 手元の現金を、使う分だけチャージすることにした。 
でも、チャージは必ず現金から。 クレジットカードや口座紐付け機能は、無限の泉になる。 大前提は現金。 
大きな金額でなければ、ポイントにはこだわらない。

毎月の支払い額が、みるみるうちに減っていった。コンビニに行っても、残高がなければチャージしなければならない。 
いつしかコンビニにも行かなくなっていった。
本当に必要なものを買うために貯金した。 考えた結果、チャージして支払う。

自分の感覚がどんどん更新されていった。新鮮だけど心地いいお金との付き合い方を知った。   


今持っているのは、自分と家の固定費を支払うためのクレジットカード一枚のみ。 
紐づけているのはそのカード専用の口座。 
チケット購入なんかで、ごくたまに使わなきゃならないネットでの支払いが出てくる。
それも含めて、使った分だけをその口座へ入金する。
自分で貯めていた貯金から、人へのプレゼントを買うときや、本当に欲しいと決めたものを買うのみに必要な時だけ使う。
まだまだ管理が完璧ではないと思ってる。これからももっと改善していきたい。

数度の失敗を経験して得た、キャッシュレスとの距離感。半現金主義という考え。

キャッシュレス時代の現金主義化。 今はこれが心地いい。

参考記事:福島民報新聞「みんなのひろば」
写真:本当に欲しいと思った僕のiPhone


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